第5話 06時33分

 いつもの時間に自分の家を出た俺は、予定通り沓掛家に到着していた。数軒分歩くだけなのでね。問題なく到着していた。


 ちなみに少し前にも触れたと思うが。俺は学校があれば、ほぼほぼ毎日沓掛家にやって来ている。ほぼほぼなのは沓掛家のお嬢様が熱など体調不良で休む場合は、俺が来る必要がないからだ。お嬢様?ちょっと違うな。沓掛家の――ガキ。だな。

 ってかこの沓掛家と五知家は昔から仲が良く。沓掛家のガキ。久梨亜くりあとは保育園から同じだ。そして気が付いたら久梨亜のお世話係。執事みたいなことに俺はなっていたのだった。何でこんなことになったんだろうな。いや、はじめのころはなんか嬉しかったよ。頼られているというか――うん。良い思いもしたよ。でもね。気が付いたよ。あっ。甘やかした結果がこれだとね。俺は――ミスを犯していたのだった。そしてやめるにやめれない関係となり。今に至るである。


 ピンポン。


 いろいろなことを思いながら、俺はいつものように沓掛家のインターホンを押す。すると待っていたかのようにすぐに返事と同時にドアが開く。


ガチャ。


「おはよう。ゴウくん。久梨亜はまだ寝てるわよー。今日もお願いねー」


 絶対玄関の前で待っていただろうというスピードでドアが開いて……今日も美人の沓掛久実さん登場である。20代で通りそうな若さのお方である。本当の年齢は――知っているが絶対言えない。言ったら――俺の身が危険。主に襲われるという意味で。うん。強制一緒にお風呂とかされそう。ちょっとしたミスをすると超怖い方である。ちなみに今のオーラはふんわりである。ニコニコとしており。俺を見ている。ってか。どこかに行くのか?というくらいおしゃれをしているが――これが普通である。お化粧なども全て完璧に朝から俺をいつも迎えてくれる。長めの髪も毛先まで艶々である。これがガキの方もだと――なんだがね。どうして親子でここまで真逆なのかと――ってか。やっぱり寝ている幼馴染だった。こいつが問題なんだよな。


「……たまには起こして置いてほしいんですが――って、今絶対玄関で待ってましたよね?その時間に起こすことできませんかね?これ前にも言った気がするって――結構な回数言った気がするんですが……」

「起こしてあげたいのはやまやまなんだけどー。私が起こしたら久梨亜。私と口聞いてくれなくなっちゃうから」

「……謎すぎる」

「だからゴウくん。いつものようにお目覚めのキッスで起こしてあげて」

「そんなこと一度もしてませんから」


 このネタと言って言いだろうか?このパターンの久梨亜母の朝の会話は1週間に2回ほどある。別パターンは「寝起きドッキリしてあげて」「事後風で起こしてあげて」などがある――俺無駄な事覚えてるな。って仕方ないよな。昔からかなりの頻度で言われるのでね。だから、もう俺は何も感じなくなり。いつも通り返事。冷静に返事が出来ていた。


「あらー」

「あらー。じゃないんです。ホント朝から――大変」


 この美人母さん。黙っていれば――とってもとっても評価が上がりそうなのだが――無駄におしゃべり好きなのが欠点だろう。

 その後とりあえず俺は、久梨亜の母に背中を押されながら室内へと入り。いつものように久梨亜の部屋へと向かったのだった。

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