真夜中のテレポーテーションに氣づく

渡部富美子Fumiko Watanabe

ベッドの中のパラレルワールド

昨夜の出来事だが、 驚いたのと同時にやっぱりという手応えがあったので記録しておく。


最初に説明しておくが、私は数ヶ月前から寝る時に布団の中でジップアップパーカーを体にかけている。理由はとても寒がりなことと、夜中トイレに起きた時布団の中で暖まっているパーカーをすぐに羽織って行けるからである 。


そのパーカーのファスナー部分に、小学生の頃入手したラピスラズリの小さな勾玉をボールチェーンで取り付けている 。


ファスナーを上げ下げする際に持ちやすいし、着た時に丁度胸の辺りにラピスラズリが揺れるから可愛らしいなと思って付けていた。


昨夜、いつものように布団の中にそのパーカーを入れて眠っていて、一度目のトイレに起きた。その時の時刻は確か23時20分過ぎだったと思う。


寝ぼけながらもパーカーを布団の中から引っ張り出し羽織って ファスナーをしようとした時、ラピスラズリがないことに気づいた。


「あ、取れちゃったみたい・・・」


ボールチェーンはめったなことでは外れないけれど、布団の中で擦れて外れたんだと解釈し、


「明日の朝にでも 布団の中を探してみよう。もしかするとベッドの下に落ちてるかもしれないし。 」そう考えて再び眠った。


そこから数時間眠ったようで、また目が覚めた。布団の中のパーカーを取り出し羽織ってからトイレに向かおうとした時驚いた。


なんとさっきは外れていたラピスラズリがちゃんと付いているではないか 。


「え?え?どゆこと??」


この事実を知った瞬間、寝ぼけ眼だったのに脳天ぶち抜かれるほどの衝撃を受けた。


トイレの中でもおかしいおかしいと一人呟いた。外れたはずのラピスがなぜまたくっついているのかがわからなかった。


頭の中がはてなマークでいっぱいのまま ベッドに戻って時計を見ると、見事な数字で、また驚いた。


「123」 すなわち時刻は夜中の1時23分だった。


そこからベッドの中で一体何が起こったのか、外れたはずのボールチェーンが生き物みたいに自分でパーカーにまたくっついたの?


わずか数時間の間に何が起こったのか。

そんなことをあれこれ考えていたら、そこからは全く眠れなくなっていた。


私が思うに、これはテレポーテーションの証しなのでは?と考えた。


パーカーが布団の中でテレポートしたというよりは、私自身が眠っている間に瞬間移動したのだと思う。


要は、【ラピスのボールチェーンが外れた時空】と【ラピスのボールチェーンがくっついたままの時空】とを数時間の間で 移動したという結論。


最初は23時の自分が寝ぼけていたんじゃないかとも考えたけれど、いやいやそうじゃない。手で触って確かにラピスは無かったし、トイレに入った時も目視でラピスが外れているのを確認していたから。


テレポートしたのは自分じゃなくて、パーカーのほうなんじゃないかとも思ったけれど、 いつだってこの世を自由自在に移動しているのは私なんだと考える方がしっくりくる。


23時のラピスが外れている自分と、深夜1時にラピスが普通にくっついている自分とを一晩で移動した体験ということだろう。


そういえば数年前にもこのような摩訶不思議なことがあったっけ、 などとあれこれ考えまくっていたから、なかなか寝付けなかった。


もういい加減考えるのは終わりにして、またトイレに行ってリセットして今度こそ寝ようと時計を見ると、またまた驚いた。


「321」3時21分。


あれから2時間近くもベッドの中で思考をめぐらせていたんだという経過時間的驚きよりも、見事にさっきとリンクしていた 数字の並びに感動すら覚えたのだった。


朝はいつものように6時台に起きたけれど、 「123」と「321」のナンバーズを買っちゃったのはここだけの話。





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