1+1=1

 毒親が毒親たる所以は、思考過程が常人のそれに対しねじれの位置にあるからではないか? 1+1=1が常識だとでも思っているような、根本的な部分から会話が噛み合わず、あらゆる対話を投げ出したくなる絶望感。それでも、子どもは親の所有物であらざるを得ないのが現実であり、絶望を抱えながら生きることを余儀なくされる。どうにか解放されたとて、親という呪いは、子ども自身が死ぬまで消えることはない。何らかの形で、子どもの人生に影を落とし続けるのだ。

 この作品は三千字余りと短いながらも、これらの要素が書き漏らすことなく凝縮されていた。著者の他の作品ではどうだろう、ぜひ読んでみたいなとの思いを抱きつつ、拙いながらもこのレビューを書き進めている。

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