ウルカ歴000167年~ウルカ歴000210年まで

ウルカ歴000167年。ヌグレド国王ロディフフスが急逝したことで国内では次期国王の座を巡って争いが起こり、求心力が急激に低下。武力で強引に併合された十の国々はこれを好機と捉えて改めて武力蜂起。八の国が駐留していたヌグレド軍を壊走させて独立を宣言する。しかし、最初に併合されたアハサとコルニグ両国は他の八国とは別の意味での好機と解釈し、ロディフフスの後継者争いに加担していく。


ウルカ歴000168年。一年に及んだロディフフスの後継者争いは、結果としてアハサが後押ししていた第二王子フルボルスが王位を獲得することで決着。アハサはこれで事実上、ヌグレド国の実権の掌握に成功する。一方、権力争いに敗れた形になったコルニグは多くの者が処刑され、事実上完全に消滅する。だがこの騒乱を切っ掛けにしてレイオスティーリア大陸西側は、戦乱の世に突入。それまでの牧歌的な雰囲気とは一変していく。けれど、そんな中でも戦渦に巻き込まれずに済んだ集落があった。トロファヌと呼ばれる魔獣に守られた集落であった。そのトロファヌを使役し集落を守ったのは、<ティティス・マクゼン>という女性である。


ウルカ歴000174年。戦国時代へと突入していたレイオスティーリア大陸西側のメクベディ国で<ウルヌス・マクゼン>が、先王の崩御によりわずか六歳で王位に就いた<ラムパス>を支える宰相となる。ウルヌスは、ある時突然現れた才人で、わずか一年でメクベディ国にあるすべての書物を読み漁り理解したと言われていた。それ自体はいささか尾ひれのついた噂話の域を出ないものであったものの彼自身の才覚は本物で、統治機構と軍の再編をたちまち成し遂げ、周辺国からの侵略を退けてみせた。


ウルカ歴000175年。ウルヌスの采配によりメクベディ国は戦国の世にあっても安定を保ち、隣国フォスル国を凌ぐ国力を得た。そんなメクベディ国に対しては共闘を求めてくる国も多かったものの、ウルヌスはその一切を断り、<永世中立国>を宣言する。


ウルカ歴000203年。永世中立国となったメクベディ国で、<議院内閣制>が開始される。先王がいささか強権的な治世を行っていたことに対して国民の反感が強かったことも制度の移行を後押しした。これに伴い国王は<国の象徴>となり、公務はあるものの国政に関する実権は持たない形になった。これは、温和な性格ゆえに国家そのものを差配するには不向きだったラムパスに重責が集中しないようにと考えたウルヌスの狙いでもあった。


ウルカ歴000205年。メクベディ国王ラムパスは、王位を義理の従弟である<ケンネス>に譲り、隠遁する。実権を持たない<象徴としての王>だったこととメクベディ国の歴史そのものもわずか百数十年であり王自体はまだ強く神格化されていなかったこともあってこそ可能な荒業だった。そして同年、ラムパスはトロファヌが守る集落で、ティティス・マクゼンという老女と共に暮らし始めた。実はティティスはラムパスの生みの母であり、公式にはラムパスの兄とされている第一王子エムロスが療養のために集落の近くに訪れたことをきっかけに恋に落ちて結ばれ、ラムパスを出産。しかしエムロスは病が素で夭逝。エムロスの父であった当時の王が王位継承者候補の一人とするために強引にラムパスを連れていき自身の子として第三王子に仕立て上げてしまったというのが経緯だった。また、ウルヌスは、ティティスの兄で、トロファヌを御するために集落を離れることができなかった妹の代わりにラムパスを取り返しに行ったのであった。ちなみに第二王子はラムパスが第三王子にされた直後に戦死している。


ウルカ歴000210年。高齢を理由にウルヌスは宰相のすべての権限を議院内閣制と共に誕生した<首席宰相>に移譲して職を辞し、隠遁。ティティスやラムパスと一緒に暮らし始めたとされるが、正確な記録はない。


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