第5話
*
妹「──えっと、おかーさんが書いてたのは……」チラチラ
姉「水アカ落とし」ヒョイッ
妹「それと、」キョロキョロ
姉「長めのフローリングワイパー」ヒョイッ
妹「あっ、あと、えっと、」グルグル
姉「トイレスタンプ」ヒョイッ
妹「むぅー」プク
姉「なに」
妹「ねーちゃばっかりズルい」プクプク
姉「たまたま高いとこにあるから」
妹「わたしもかっこよくカゴに入れたい」
姉「いやただ普通にカゴに入れてるだけなんだけど」
妹「さまになってる」
姉「それを人は気のせいと呼ぶ」
妹「呼びません」
姉「トイレットペーパー取ってきて」
妹「はーい」テクテク
姉「いつも使ってるやつね、シングルの」
妹「わかった」セノビ
姉「……」
妹「……」ピョンピョン
姉「……」
妹「……」ピョンピョン
姉「……」ハッ!
姉「なんでこんな高いとこに置いてあるんだ」ヒョイッ
妹「あー! また!」
姉「妹、スカートで跳ぶのはダメ」
妹「なんで?」
姉「パンツ見える」
妹「……」
姉「……」
妹「へんたい」
姉「なぜだ」
妹「ねーちゃのえっち!」ウガー
姉「ちょっ、声大きい!」
妹「わたしもう一枚履いてるしー」
姉「捲らないでね」
妹「わかってるー」
姉「妹はかわいいから気を付けないとね」
妹「……ねーちゃも」ボソ
姉「なんか言った?」
妹「ふふふ、なんでもないよー」ニコニコ
テクテク
姉「そこの竹串取ってー」
妹「うん」スッ
姉「入れて」
妹「うん」ヒョイッ
姉「よくできました」
妹「できましたー」ドヤ
姉「お会計しよっか」ニコニコ
妹「えへへ、そーしよ」
店員「いらっしゃいませーおあずかりしま……」チラッ
姉「あ」
店員「あ」
姉「バイト?」
店員「そう、バイトです」
姉「ほー」
店員「姉さんは……ああ、お買い物か」
姉「そうそう」
店員「そっちは、妹さん?」
妹「妹です!」
店員「わー、妹さんかわいいね」
姉「でしょー?」
店員「何年生?」
妹「四年生です!」
店員「おっきくなったら姉さんみたいになるのかな」
姉「みたいってなに」
妹「ねーちゃみたいなのはヤです」
店員「えー? こんなかっこいいお姉さんなんてそうそういないのに」
姉「かっこよくないよー」
店員「いやー、今日の服もイケてるね」グー
姉「キャッチか何かか」
店員「あはは」
姉「妹はわたしよりも大きくなりたいんだってさ」
妹「おっきくなってねーちゃを見下ろすのです」
店員「なるほどねー……あ、3520円です」
妹「ポイントカードあります」
店員「はいどうもー」
姉「4000円からで」スッ
店員「はーい」
姉「妹お釣り受け取ってね」
妹「任された」
店員「どうもどうもー、カゴお持ちいたしますね」
妹「どうもです」
姉「そういえば、ここでバイトしてるなんて知らなかった」
店員「そうね」
姉「言ってくれれば毎日通ってるのに」
店員「いやそれ普通に恥ずかしいでしょ」
姉「そう?」
店員「だいぶ」
姉「そうかー」
店員「てか妹さんと仲良いんだね」
姉「まあね」
店員「姉さんはこういう顔もするのかーって新発見」
姉「え、なにそれ」
店員「いつもはキリッとしてる」
姉「そうかなぁ?」
店員「うん。で、今は保護者的な」
姉「なるほど」
店員「そこは肯定するのね」
姉「妹はめちゃくちゃかわいいから、保護者? なのかどうかは分からないけど守ってあげたくなる」
店員「ふむふむ」
姉「あの子のこと見てたらこう思う気持ちもわかるでしょ?」チラ
妹「……」モクモク
店員「おお、また珍しい姉さんだ」
姉「えー、どこが?」
店員「楽しそうな顔してる」
姉「普段のわたしはそんなに仏頂面してるかね」
店員「割とね」
姉「嘘でしょ?」
店員「そう、嘘よ」
姉「ですよね」
店員「でも楽しそうなのはホントだよ」
姉「自分では分からないもんだね」
スミマセーン、カッパヲサガシテルノデスガ…
店員「あ、はーい。少々お待ちください」
店員「ってことで姉さん、また学校で」
姉「バイト頑張ってね」フリフリ
店員「ありがとう、またね」フリフリ
妹「……」ジトー
姉「どしたの、帰ろ?」
妹「うん」クイッ
姉「なに」
妹「わたしも半分もつ」
姉「ありがとう」スッ
妹「……」テクテク
姉「……」テクテク
妹「……」チラッ
姉「ね、どうしたの?」
妹「……もしかして、ねーちゃって」
姉「ん?」
妹「さっきの人って、どうきゅうせいだよね?」
姉「うん」
妹「"さん"付けでよばれてるの?」
姉「うん」
妹「なんで?」
姉「こっちが聞きたい」
妹「ほかの人にも?」
姉「まあだいたいはね」
妹「なぞい」
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