第29話 プロ野球観戦

 仙台にいる次女が引っ越しをすることになり、片付けついでに遊びに行った。コロナがなければもっと仙台を贅沢に楽しみたかった。特に、今住んでいる県には地元のプロ野球がないから、もし仙台に住んだら、東北楽天ゴールデンイーグルスファンになってプロ野球観戦を趣味にするのにと羨ましく思っていた。

 せっかくだから次女の仙台市民最後の記念に、地元ファンぽく雰囲気だけでも生で味わってみたいと思い、たまたま翌日のデーゲームの席が取れたので、初めて楽天スタジアムでの試合を観に行くことにした。

 昔は阪神タイガースのファンでテレビでよく観戦していたのだが、いつの頃からかプロ野球を楽しいと思えなくなっていたので、プロ野球観戦自体30年ぶりくらいだったし、本当の楽天ファンではないからいまいち勝手が分からず、緊張気味に楽天側の内野席に向かった。選手もよく知らないし応援も分からないまま、よそ者が混ざっちゃいましたみたいな感じで、静かに観戦していた。

 ところが、なかなか白熱した試合運びで、6回あたりからは応援も覚えて、気付くと周りと同じ声量で応援に参加していた。大接戦で大いに盛り上がり、すっかり一楽天ファンとして一喜一憂して延長12回を楽しんだ。

 ただ、交代の度にミニファンサービスイベントみたいのがあったせいかなんとなく間延びした感じがして、プロ野球にハマれない理由が分かった気がした。

 やはり、高校野球の汗と涙には敵わないと実感した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

凡生尽語 樵丘 夜音 @colocca108

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ