【KAC202210】真夜中にわたしが見つけたもの

竹神チエ

まさか!?

 真夜中のことでした――と始めるのは『KAC2022 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2022~』10回目のお題が「真夜中」だったからです。


「早朝」がお題なら、早朝のことでした――と始まり、


「真昼間」がお題なら、真昼間のことでした――と始めたのでしょうが。


 とにもかくにも、わたしがT子さんを訪ねたのは真夜中のことでした。

 満月、草木も眠る真夜中です。


『KAC2022 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2022~』も、残すところあと1回です。ラスト1です。今回は全11回で終わる、そのひとつ前である10回目なのです。


 開催当初は、どうなるかと思った狂乱の宴も終わりが見えてきました。


 T子さんは参加にあたり、心がけていたことがあります。


 600文字以上書くこと。

 タグを間違えないこと。

 お題に関わる内容にするよう心掛けること。


 この三つです。

 当たり前です。その三つが祭りの参加条件なのですから。


 そんなT子さんは、周囲のハイレベルな作品に圧倒されることなく、初志貫徹「600字書けばいい」を胸になりふりかまわず参加したこともあり、また、皆さんの励ましもあって開き直ること10回。


 あと1回書けば、皆勤賞が獲得できそうな位置まで来たのです。


 行けるよ、T子さんっ。当たれっ、トリグッズ!!

 わたしはそう思っていました。


 ですから真夜中に入った暗い部屋のテーブル、月明かりが照らすその上にあった一通の置手紙を見つけたとき、わたしはとても驚いたのです。


 そこにはこう書いてありました。



 ――探さないでください。T子。



 T子さん、夜逃げです。

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