ネッコ

陰陽由実

ネッコ

ペットを飼いたい。

ここ最近の私を悩ませていることのひとつだ。

今現在私が住んでいるアパートではペットが飼えない。

引っ越す前からペットを飼いたいとは思ってはいたが、このアパートが勤めている会社から近い上に家賃が3万という激安だったからやむなく……

金欠辛い。と言うか、金欠なのだからペット厳禁以前に飼えないのだが。


しかし飼えないのなら会いに行けばいいのである。

今のところ1番会いたいのは猫ちゃんだ。猫吸いしたい。

そして私には幸いなことにネッコを飼っている友達がいる。

素晴らしい。ありがとう。

そういうわけで、ただいまその友達宅の前にいるのである。

チャイムを押した。もう夕方だが連絡は来る前にしているので、すぐに扉が開いた。

「ヤッホーしほ」

「ヤッホーりな。猫補給させてぇ」

「私が猫飼い始めたあたりからほんと来る回数増えたね。ルイならリビングのソファにいたはずだよ」

りなにリビングまで通してもらうと、移動したらしく床をてけてけ歩いていた。

私たちに気づくと近寄ってきて足に体を擦りつけてくる。

ズボンの布越しに毛の柔らかな感触がする。

「ルイ……ルイが……かわ……」

「だいじょぶー? フリーズしてるよー?」

りなの声も右から左。可愛さに打ち震えながらルイを抱き上げた。

「癒しだ……天国はここにあった……」

「勝手に人の家天国にしないでな?」

ふわふわをある程度堪能したら、肉球が目についた。

前足を手で包み、親指でぷにっと押す。

弾力と柔らかさがちょうどいい。

ぷにぷにぷにぷに。

ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに。

「これすき……おかあさんこの子ください」

「お前にゃやらん! この子はうちの子じゃ!」

「うわーん」



こうして、猫好きの一日は更けていった。

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ネッコ 陰陽由実 @tukisizukusakura

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