第5話 家での様子②
「できたよー」
伯母さんと二人でお皿に乗った料理を運んでいく。
それを机に置いたところでみんなも集まってくる。
「いただきます」
私も自分の席に座って軽くお箸をあわせてそう呟いてからハンバーグを食べていく。
うーん。
自分で作っておいてあれだけど、なかなかのでき。
この肉汁がうまく閉じ込められた焼き加減は絶妙だね。
そう思って味を噛みしめていると、伯母さんが声をかけてくれる。
「あ、美佳ちゃん。荷物だけどちゃんと部屋に運んでおいたから後で確認してね。」
「はい、ありがとうございます伯母さん」
「ううん、いいのよ。それと部屋なんだけど本当に乃絵ちゃんの部屋でよかったの?他の部屋をあけたら一人で部屋使えるわよ。」
「いいんですよ。それにやるなら私が荷物動かして部屋にしますから気にしないでください。」
正直に言うと伯母さんの好意はかなり嬉しい。
一人部屋の方が確かにいいのだけど、私の両親と同じで伯母さんも共働きなので休日はゆっくりしてほしい。
だからこそもし部屋があいていないとなって自分の部屋が欲しいとなれば、自分で荷物の入れ替えなんかはやると言ってしまう。
そんな考えの私のことを少し寂しそうに伯母さんは見たような気がしたけれど気のせいだろうか?
そんなことをふと思いながら晩ご飯を食べ続けた。
洗い物を片付けてリビングにて一息つく。
ソファの上に座っていると横に乃絵ちゃんが座ってきて、するりと私の腕を掴んだ。
「美佳おねえちゃん。お母さんが上がったら一緒にお風呂いこー。」
「うん、いいよ」
キター。
お風呂イベント発生したー。
起きるであろうイベントではあったけれど、内面の私はガッツポーズをとる。
ただ、表面の私は完璧な笑顔。
少しごめんなさいと乃絵ちゃんに謝りながらもお風呂は絶対に一緒に入る。
当たり前じゃん。
「いこー」
乃絵ちゃんに引っ張られるようにしてお風呂場に入った私はゆっくりと服を脱いでいく。
乃絵ちゃんはするすると素早く服を全部脱いでしまうと先にお風呂に入っていく。
「美佳おねえちゃん、洗いっこしよー。」
「はーい」
まさかそんなイベントまであるなんて……
これは私がこれまで頑張って徳をつんだおかげだね。
さあ、どこから洗おうかなー。
心の中では邪悪なことを考えながら私もお風呂に入った。
まずは泡をしっかりと起こし、体を泡まみれになりながら洗っていく。
「あわあわだー。」
嬉しそうに笑う乃絵ちゃんの体を洗っていく。
わかっている、小さな子はこういうのが好きなのだということを…
そんなことを考えながらも、二人共洗い終わったところで、体的に大きい私が先にお風呂に浸かる。
そしてその足の間に乃絵ちゃんが入ってくる。
私の胸を枕にするようにしてもたれた乃絵ちゃんを後ろから軽く抱きしめる。
「ポカポカだねー」
「だねー」
完全に体を後ろの私に預けながら二人でのんびりと浸かる。
くー……
可愛すぎる。
ここにカメラはないの?
今のこの状態をカメラにおさめたいんだけど。
そんなアホなことを考えながらも私と乃絵ちゃんは二〇分ほどお風呂に浸かっていたのだった。
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