愛か嫉妬か

@MISTERO

第一章 いつも

「晴樹君、前から君のことが好きでした、、、付き合ってください!」

「いいよ、舞」

数年前、私たちの愛が桜と共に咲いていくときの話だ。 


 蝉の声が煩く感じられる頃、私たちはだんだんと気が置ける仲になっていた。

「最近暑くなってきたね」

「そうだな、舞は何飲む?」

「今日もオレンジジュースでいいよ、晴樹は?」

「またジュースかよ~いい加減大人になったらどうだ?」

「俺はもちろんブラックコーヒーだぞ」

私たちはいつもの時間にいつものカフェでいつも同じ人と過ごした。


 暑さが顔を隠し、風が少しずつ冷たさを帯びてきたとき、私たちは交際半年記念を

迎えようとしていた。

「もうすぐ何の日か知ってる?」

「え~?わからないな」

想像通りの返答だった、晴樹は普段は優しいが、記念日や女子の些細な変化に疎い

典型的な男なのだ。

しかし、晴樹のそんなところにさえ魅力を感じている私がいる。

でなければ、告白なんかしていないだろう。


 数日後、交際半年記念を迎えた。私からサプライズとして学生の小遣いで

買えるような些細なプレゼントをあげた。そして、次の日には晴樹からも

プレゼントを渡してもらった。


 そして、ようやく二人で初めて迎えるクリスマスが迫ってきた。

晴樹との約束を取り付けるために古めの固定電話で電話をかけた。

「もしもし!クリスマスの予定空いてる?」

「ごめんね舞、クリスマスは家族と過ごす予定なんだ」

「そう、、、わかった」

断られるなんて思ってもいなかった。だから、ショックが大きくてすぐに電話機を

おいてしまった。


 クリスマス当日、寂しさに暮れて華やかな街を歩いていると、

晴樹の両親と出会った。

「久しぶりです、二人で何をしているんですか?」

「あら、久しぶり舞ちゃん!今日はね珍しくデートしているのよ!」

「そういえば、うちの晴樹はいないの?」

「晴樹君ならクリスマスは家族と過ごすって言ってましけど?」

「えっ?今日は大切な用事があるって出かけて行ったわよ」

「噓でしょ、、、?」

その時、初めて晴樹を疑った気がした。





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