クールなあんちくしょう。

たから聖

第1話 入院患者のお母さん。

私は、去年の夏頃から秋に

かけて……


閉鎖病棟に入院した。

その頃……長男とは、毎日毎日


早朝から深夜まで口げんかを

していた。


お互いが……お互いを

罵り合う日々だった。


当然と言えば……当然だ。



息子達は、私を養っていたから。


若いのに、私の存在は

彼等にとって、足かせ的な

存在だったから。



仕事も出来ない。亡き母の遺産は

息子達の電気代やら


水道代または、毎日毎日息子達

は料理を作るので


私の遺産が……毎月毎月

消えていった。


【卒母したいんだってば!!】


【母さん一人じゃ、何も出来ない

クセに!!】

【しかも俺ら……毎月お金

入れてるじゃん。】



【だから、そういった甘ったれ

が……嫌なんだって!!!】


【家にお金を入れれば

それで、良い訳ないでしょう!】


【どうしろって、言うの?!】


口げんかは、ヒートアップ

していく……。



遺産が……毎月無くなる事に

不安を感じて、精神的に

私は、追い詰められていた。



ある日、精神科の外来へ行くと


先生の顔を見るなり……

私は、大泣きしてしまった。



先生は、焦った様子で……

【分かった。分かった。


ちょっと不安定だね?入院

しようか??……。】


私は、うなずくしかなかった。



数十分後くらい、たったろうか?


息を切らせて、見慣れた人物

いいや。この場所に相応しくない人物が……ソファーで


座って、待っていた。



※《長男が……何で……?》



私は、申し訳ない気持ちと

逢いたくない気持ちで……


長男と、離れて座った。



コロナの陽性反応が出ないか??

を先生は検査を開始する。


私は、陰性だった。


手続きは、先生と長男が

やってくれた。



閉鎖病棟へ向かうと、

貴重品を全て、長男に渡す羽目に

なった。



看護長さんらしき、方が……

【盗まれてもいい金額だけ

サイフに、入れといて下さい。】


私のサイフには、数千円しか

いれなかった。



長男が……後は看護長と

話を付けてくれていた。



私は、病棟で……食事を食べた。


サバの味噌煮だった。

味が……濃かったけど……

とても美味しく感じた。



そして、久しぶりのごはんを

食べた。という感覚だった。



長男は、私が呼べば、すぐ

病棟へと、飛んでくる。


しかも、閉鎖病棟はその頃

コロナが病棟に、入らない

様に……



外部の人間は、遮断していたのだ。

私は、何も知らずに

長男に何度も電話をして


当たり散らした。長男は全て

受け止めてくれた。




外部の人間は遮断なので

私は、とてもイライラしていた。



だけど、長男と次男は

私の知らない所で……頑張って

くれていた。



先生が……間に入り、家族の

悩み相談を、率先してやって

下さった。



私は自分が……どれだけ

自分勝手か、その時は分からなかった。



退院前も……ドブスな看護婦が

長男に色仕掛けしているのを


私は、察していた。

さらには、先生と私が……


デキてる。と、ドブス看護婦

たちが……勝手にでっち上げて

いたのだ。



【こんな、イジメ病棟

   くそ食らえ!!!】



退院当日……長男が時間より

早く、迎えに来た。


長男は、車酔いしやすいのに

それでも、タクシーで私の為に


迎えに来ていた。



長男は、立派だった。

【じゃあ……お世話になりました。】


看護婦さんたちは。


【はーい!!】

と、だけだった。



退院して、家中汚かった。

荷物をキャリーバッグ👜から

出して、整理をすると



次は、家中の掃除に、私は

とっかかった。



長男は……じゃあ!!

と言って、自分の住まいに戻って

行った。



しかも、徒歩で……

長男の後ろ姿は……どこか

たくましく写った。






数日後…………。

鍵が……ガチャガチャと

音が聞こえる。



あれ??と小説を書く手を

止めると…………。




自転車に乗り、慌てて私の

誕生日ケーキ🍰をたくさん

用意して



息を切らせながら

長男は……やって来た。



ぶっきらぼうなあんちくしょう。

それは、






長男の優しさかも、知れない。

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