田原総一朗、無人機を操縦する

 説得を完了させ、部屋で休むように命令された田原総一朗は宮殿の立派な部屋へ入っていった。口臭さん一家も一緒だ。部屋に着いた途端、ある事件が起こった。

「「「あ」」」

三人が声をそろえた。その直後、爆撃機が上空を通り過ぎて行った。こんなひやひやする事件が続くこの異世界。恐怖しかない。


 深夜。僕、田原総一朗は爆撃に関するプロジェクトがすでに進んでいて、明日に始まるなんてことは全く知らなかった。起きたら、長に対してなんというのだろう。


***

夢を見ていた。戦争体験と、今ここにいることから生まれた夢。それに浸っていた僕は、恐怖と憧れでブルブルと体を震わせて口臭さんの臭いを嗅いでいた。


「やあ、田原君。そなたの意見、前向きに検討した結果、採用することになった」

「ありがとうございます」


「そなた、幼いころに戦争を体験したことがあるそうだな」

「はい。その時は軍国少年でした」

「そうか。夢は?」

「海軍に入って、敵の軍艦に体当たりして、名誉の死を遂げることでした」

「ほう」

興味深そうに、長は耳を近づける。

「でも、戦争が終わった時。大人に教えられることがまるで変ってしまいました。それで、戦争が大嫌いになりました」

「そうか・・・・・」


「そなた、無人機の操縦を任せたい」

「え?!」

「考えたのは、そなただ。実行するのもそなたが良い。これが操縦機だ」

「いや、待って・・・・・」

「こうして、こうやるとこうなる。こうでこうで・・・・・」

夢は、ここで終わった。

***


 珍しく、天気の良い心地よい朝だった。隣を見ると、三人はまだ寝ていた。

「おはよう。おぬしの意見は採用されたぞ。我も戦争反対になった」

長はなぜかご機嫌だった。


「ところで、おぬしにしか頼めないことがある」

長は、真剣な顔に鞍替えした。

「無人機の操縦を任せたい」

え??

「おぬしなら必ずできると思ったのだ。海軍の夢を今ここで」

「いや、そんな・・・・・」

「頼む!!!!」

そんなこと言われるとやるしかない。

「分かりました。やりましょう」

「ありがとう。作戦は明日だ」


 爆撃の恐怖と戦いながら寝た。そして、起きると自分が生きていることを確認する。

「おはよう。操縦は出来そうか?」

「はい。現地人は逃がしましたか?」

「OKだ。それじゃあ、行くぞ」

「はい」

というわけで、田原総一朗は誰も犠牲にならないように願いながら、操縦機を握った。無人機は静かに離陸し、軍事基地を爆撃しに行った――

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