5 最初の勝利
火球はまっすぐ母艦の銃口のひとつへ向かってゆく。
音もなく。
火球は銃口をふさぎ、爆発が起こった。
「やった!」
慌てふためいた母艦が数秒後、姿を消した。
「ワープしたね。ちょこっと損傷しただけで、慌て者だね」
ルルウラ=レイが、感慨深げに言った。
「今日のところは、君たちの勝ちだ。
おめでとう」
「……」
勝ったのか。
実感がなく、少しの間のあと。
「やったあ!」
五人の息がそろい、プラニスファーも、勝利のポーズを決めるのであった。
* *
「あれ? 消えちゃったね」
〈星の湯〉前の人だかりは、遠くの赤い光が消えたのを確かめると、ひとりふたりと離れていった。
マコトはくびをかしげる。
「なんだったかなあ?」
「ネットにはまだ、どこの見解も出てないね」
シュウサクさんがスマホを見る。
「まあ、いいか。宇宙はひろいから!」
「よくわからないけど、不思議な説得力があるまとめだな」
「それでね、あの大きいやつがハクチョウ座でね、」
マコトは指をさして星の名前を語り出す。
* *
五人とひとりは、もとの森の中にいた。
ルルウラ=レイは、またロボットの姿だ。
「何とか今夜の危機は去った。
みんな、ありがとう。ブレスレットは回収するね」
「えっ?」
マモルが思いがけないことを言われたような反応をする。
「俺たち、今日からプラニセイバーなんじゃないの?」
「えっ?」
ルルウラ=レイも、その言葉に驚く。
「だって、急にこんな危険な戦い、巻き込むわけにいかないよ。そもそも、ぼくが勝手に学校へ潜り込んだのがいけないんだし」
「だけど、これからどこを拠点にするの?」
アオイが言った。
「プラニスファーがあるところを、彼らは狙ってくるんじゃないの? ここじゃだめ?」
「みなさんを巻き込みたくなくて……」
「そんなこと言ってたら、どこに行っても遠慮して仲間なんかできないよ。ルルウラ=レイくんは、もう事情を知ってる私たちのいる町にいたほうがいいんじゃないの?」
マモルも言う。
「俺たちの町を守ったからこそ、今夜は地球が守られたんだ。
連中が何度来ても、何度でもあきらめさせるまでやるぜ?」
ユウスケも。
「ぼくら、全員適合者なんだろ? また探すの大変なんじゃないの?」
ナミも。
「ルルウラ=レイくん、私たちの町内なら、隠れるとこいっぱいあるよ? うちの銭湯に来ても大丈夫よ?」
そしてヘイタ。
「うちの店でもいいぞ」
「……ありがとう」
ルルウラ=レイは、自信のなさそうな声で礼を言い、
「思ったんだけど、奴らに存在を知られてしまったから、君たちはブレスレットを持っていたほうが安全だと思うんだ」
「じゃあ、もう決めちまおうぜ?」
五人はルルウラ=レイを囲んで、順にハイタッチをしていったのだが、
「ルルウラ=レイくんの地球にも、ハイタッチあるんだ?」
「うん、あるね」
星町の家々の明かりもまた、星のようにまたたいている。
この町を守ると心に決めた五人は、いつまでもその小さな光を見つめるのだった。
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