出逢いと別れの会員制クラブ

たから聖

第1話 あ然、とられちゃった。

ここは夜の街、銀座。


会員制クラブがズラリと並ぶ。

その中で……群を抜いて

有名で人気の高い


クラブホステスさんが居た。

彼女の名前は、るる。



今日も、るるを求めて

沢山の接待客が彼女めがけて

押し寄せるのだった。



るるは、手慣れた手つきで

水割りを作る。

お客様との会話も、スマートで

盛り上げ方も知り尽くしていた。



《るるさん!!ちょっと……》

クラブのママに呼ばれると

るるは、新人が一人


そこに、立っていた。


新人ホステスの名前は百合。

百合はるるに、


《初めましてこんばんは。私

るるさんの事を、、ずっと

憧れていました。私もここの

店のオンリーワンに成りたい

です。よろしくお願いします。》



百合は、るるに丁寧に挨拶した。


百合は経験者だったので

初日から、接待客を楽しませて 居た。るるは内心、百合を見て


関心していた。


《すじが、いいわ。この子》

ママも、百合を可愛がった。



だが、百合はどれだけ人気が

上がっても、喜ぶどころか


なぜか、るるの私生活を

うらやましい。うらやましい。


と嘆いていた。


るるには、付き合っている彼氏

が居たのだ。


背も高く、顔もジェームスディーンの様な深掘りのイケメン。



もちろん、夜の鉄則

《お金持ちの経営者》だった。


夜と言えば、お金持ちの男性

が集まる。


必然的と言えば、そうだろう。



百合は、ある日客にもらす。

色気のある、ため息を交じらせ


《るるさんてば~、百合の

何倍か幸せに暮らしてるの。


うらやましいよねぇ~。》


百合は、水割りの汗をかいた

コップをおしぼりで吹き


気づかいを、見せつつも

さり気なく男を見繕っていた。



だんだんと、百合の本性が

見えてきた時には、


ママすらも、客を寝取られる

始末に負えない状態になった。



百合は、どんどん頭角を表した。


オンリーワンどころか

るるを抜く勢いで……


ナンバーワンに近い存在に

なっていた。



さすがに、るるは慌てた。


だが。時すでに遅し。

るるは、プライベートな関係の


彼氏をも、百合に寝取られて

しまったのだった。



全てを、手に入れた百合は、

るるの彼氏を、野蛮に扱った。



それこそ、アゴでこきを使っていた。


だが、客という客も

元るるの彼氏も、百合の言う事

ばかり聞いてしまう。



それは、そう。

ベッドのテクニックが抜群

だったからだ。


彼女を知ってしまった男性達

は……もはや百合狂団

の様に、なってしまった。



さすがに、ママとるるは、

頭を悩ませた。



《私達……何か間違ったかな?》

るるも、ママも


客を寝取られて、あ然として

店の中では、お酒を運ぶだけの

こきの使われ様にまで


陥っていた。



《オンリーワンどころか?

   銀座のナンバーワンね?》


百合は、高飛車になってきた。



それでも、男共は百合に貢ぐ

事を、辞めなかった。



客の中で……百合を好きに

成りすぎて、家庭不和になる

客も、チラホラと



出てきた。だが、百合はまるで

ゲームの様に、家庭を


壊し続けた。百合は完璧主義

なので、

るるの彼氏をも、捨て去った。



るるの彼氏は、百合を知って

しまったので……今さら


元サヤに戻る訳もなく……。



ナンバーワンからの転落。

るるは、もう、店を辞めようと

考えていた。



ママの方も、固定客が百合ばかり

求めるので……


せっかくだけど、百合に

店を退店してもらう方向で……


思案していた。

その話を、それとなくるるに

話すと


るるは意外な言葉を吐いた。



《私はナンバーワンを何年間

も、銀座で決めて来たわ。



だけど。百合ちゃんには何年間

も、務まらないよ!?

何となく、女の感ね?ふふふ》



るるの予言通り、百合は

デートの約束を、守れなく

なってきた。



ダブルブッキングという事も

ザラに、目立ってきた。



百合は、完璧主義に成りすぎて

自分の身を滅ぼしたのだ。



百合は、悟った。


そして百合は、人の人生を

滅ぼすと、痛い目に合う事を


初めて知る……。





退店を決めた百合は

ママとるるに、頭を下げた。




《空気は、読めるのね?

   まぁ元気で……。》


ママに言われ、百合は店を後に

した。




ママは……ため息交じりに

言った。

《仕切り直しね?さてと。》



ママはグラスにバーボンを

次ぐと、


勢い良く、クイッと飲んだ。




百合は、退店後には、

銀座から消えたのだった。


まるで、身を隠す様に、



そんな頃……とある客の妻が

百合を……




後ろから、ナイフ🔪で……

刺したのである。





ここは、出逢いと別れの

夜の街……



行き過ぎな行為は、ゴメンあそばせ。








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