第6話  あなたは何者だ?

(このオバサン、何者?

 なんでそんな人が、ついて来るんだ?)

 驚く子供たちの顔を、満足そうに彼女は見つめる。

「だって、私…これでもかなりの資産家なのよ?

 ボディーガードの1人や2人、いても当たり前でしょ?」

いきなりセレブのように、澄ました顔をしてみせた。

「おっ」

裕太が口を開くので、今度はなんだ?とサキアさんは身がまえる。

「へ、へぇ~なんか、カッコいいな!ドラマや映画みたい!」

目をキラキラさせて、その大男を裕太は見つめる。

彼女はちょっと自慢そうに、うなづいた。


 だがジュンペイは、そんなことなど気に留める様子もなく、

「このオジサン、やたらとしつこいんだぜ」

裕太にコソッとささやいた。

 ま、もっとも…

子供にとっては、セレブだろうが、あまり関係ないようだ。


「ねぇねぇ、オバサン!

 この町、すごいねぇ」

いきなりジュンペイが、思い出したように言うので、

「そう?」

うるさそうにするけれど、サキアさんもまんざらでもなさそうだ。

「すごいよ!屋台もあるし」

「屋台?」

「そう!」

いきなり裕太も食いつく。

そういえば…まだ朝ご飯も食べていないのだ。

付け加えたら、昨日の晩御飯も!

「おっ、いいねぇ~お祭りみたい」

裕太は嬉しそうに、目を輝かせる。

「あっ」

突然思い出したように、裕太はジュンペイを見て

「ところでおまえ!さっきまで…

 どこに行ってたんだよぉ」

ボクを1人にして、ずるいぞ、と思う。

「あっ、心細かった?

 ごめん、ごめん!」

 悪びれもせず、手を合わせる姿は、いつものジュンペイだ。

裕太はなんだか、おかしくなる。

コイツ…こんな知らない所へ来ても、やっぱりいつもと

変わらないんだ…


 そんな2人を黙って見守っていた、黒い服の女は

「あら、よかったわねぇ」

再び帽子を目深にかぶると、なぜかにぃ~っと、口を横に引いて

微笑んだ。

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