第4話  とんでもない子供たち!

「あのぉ~」

 ためらいがちに、身体を起こすと、その女性を見上げ、

「助けてくれて、ありがとう」

ようやく裕太は、まともにしゃべった。

「あら」

さっきまで、オバサン呼ばわりしていた男の子が、まともに

話すので、彼女は驚いたように、目を見開く。

「あなた…起きても、大丈夫なの?」

思ったよりも優しい声で、起き上がろうとする裕太の背中を、

手で支える。


 よく見ると…小さな町はずれのホテルのようだ。

(これってまるで…ドラゴンクエストに出てくる宿屋のようだなぁ)

ふと裕太は思った。

 だけど自分が、どうやってここへ来たのか…

全くわからないのだ。

波に飲み込まれたはず。

ここからは、波の音などが聞こえてきたりはしない…

(まさか、このオバサン…人さらいじゃないよね?)

こわごわと、その女性を見つめた。

「どうした?気分が悪いの?」

すぐに女性が聞いて来る。

「あの…」

おそるおそる裕太は、上目遣いでその人を見上げる。

「ボク…売っても、大したお金にはなりませんよ?

 むしろ売れないと思います」

何とか解放されようと、そう思う。

「はっ?何を言っているの?」

 この私を、何だと思っているの?

その人は、顔をしかめる。

 やめだ、やめだ!

 こんな…自分の性に合わないことなど!

その男の子を見ると、ムッとした顔をして、

「私はまず、人さらいではない。

 お金にも、困ってはいない。

 むしろ…そこそこ小金持ちな方だ」

腰に手を当てて、傲然と言い放つ。


 すると、バン!と扉が開いて、

「おっ、裕太!

 やっと起きたのか?

 寝坊助だなぁ」

いきなり甲高い声が響いた。

彼女は「はっ?」とつぶやくと

「また来たかぁ」

顔をしかめた。

 

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