第三の部屋:再検査

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 セイジュの吐息だけが響くのは、薄暗い、何か赤いものに包まれたような不気味な空間だった。

『1125番』

 例の声で、セイジュは茫洋としながら四つん這いのまま首をあげた。

『検査結果に異常値が出た。そこで再検査を行う。快楽に身を任せろ。好きなだけな。では開始する』

「かい、らく……」

 セイジュが呟いた瞬間、両手首のリングがセイジュを宙に浮かべ、両腕と両手足を大きく開いた。

「あ! 何これ……!!」

 屹立しかけている性器や揺れる腰が丸見えの状態に、セイジュが驚いたのも数秒、壁だと思っていた赤黒いものから、タコの足のようなうねうねと動く物体が四方八方から出現し、セイジュの全身のあらゆる箇所に密着した。

「あ、ああっ!」

 その物質の太さは様々で、まるであらかじめクリーチャーに性的快感を与えるために造られたようだった。

 セイジュの胸の突起には大きな吸盤が吸い付いたが、その内部ではより細い管が先端を吸っていた。

「あぁん! はぁ! 何これ、こんなの、あ、ああっ!」

 秘部には凹凸のある管が侵入し、物凄いスピードで出入りを繰り返し始めた。

「ぅあああ!! 凄い! これ、ああ! いい! これいいっ!!」

 そしてとどめは性器に対する物体だった。一見大きな袋が性器を覆っているように見えるが、その内部では、凹凸や棘、液体、動き、その他様々な仕様の物体に形を変えるものがセイジュの性器の下部を弄び、先の部分には強弱を付け吸い上げたり温度を変えたりと、これでもかというほど刺激を加え続けていた。

「あ、あ、ヤバい、こ、これヤバすぎる……!! お、お尻も胸もあそこも——!! おかしくなる! 俺壊れる!! 気持ちいぃ!! いいっ!

 イキたい! でもなんか足りない、全然足んない!! もっと奥まで、何でもいいから奥まで来て俺をちゃんとイカせてよぉぉぉ!!!」

 宙に浮いたセイジュは涙を散らしながら腰をうごめかし、悲痛な懇願を叫び続けていた。その姿は妖艶で淫靡この上なかったが、どこか現実味がなかった。

『データは充分に取れた。1125番、検査は以上だ。これから——』

 例の『局長』の声が聞こえてきていたが、セイジュの耳には入ってこなかった。

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