武器について考えよう

 ファンタジー世界の主力武器といえば魔法か剣ですね。

 

 そこで剣などの武器について、少し考察してみましょう。

 

 戦争と普段使いの武器で違ってきます。

 

 ですが根本的に剣が主力装備であることは少ないのです。

 

 なぜか?単純です。皆さん考えてみてくだい。医療レベルが低ければ小さな怪我でも破風症や感染症のリスクもあります。怪我はしたくない。

 

 では、問題です。皆さんが、怪我をしないで攻撃するなら何を選びますか?

 

 1、投石、スリング

 2、弓、クロスボウ

 3、槍などの長柄武器

 4、刀剣類

 

 さてどれを選びました?敵に、近いほど危ないですよね?矢や石が飛んでくる中を剣を持って突撃したいですか?普通は嫌ですね。

 

 そしてこのラインナップで考えるべきはコストパフォーマンスです。

 

 石は拾うなり集める手間だけで攻撃できます。

 

 弓やクロスボウは木材や動物の腱や毛など素材を使用して製造します。

 

 槍は、木製の柄に金属製もしくは石を取り付けます。

 

 剣は刃の部分は総金属製です。

 

 問題は金属製品のコストなのです。現代は鉄など大量生産されていますが、採掘にも人力のみで、精錬するのにも大量の燃料を使用し、さらに鍛錬して整形するにも莫大な燃料と時間が必要です。

 

 これを何千何万本と揃えられますか?それなら槍を並べた方が安くて早く作れて、強いです。軍事的な実用性としては、剣は低くくて、最後の最後、接近戦専用の護身武器くらいな扱いのです。

 

 逆に日用する刃物としてナイフや包丁などもっと短い方が良いのですが、戦争には短すぎます。

 

 ではなぜ剣が主力武器なイメージなのでしょうか?近接戦闘でも槍を使っても良いはずです。実際に薙刀は剣道よりも圧倒的に強いそうです。

 

 それは剣のコストが高い事にあります。

 

 コストが高いということは大量配備するには不利ですが、同時に高級品でもあります。

 

 そして実用性が求められない武器なので、装飾したりして使い勝手が悪くても困りません。そこで権力者や貴族は魅せる武器や神事などの儀式で多用します。

 

 そしてやはり大きな刃は威圧感があります。まさに武器の象徴として向いているわけです。

 

 日本でも刀が武士の武器のイメージですが、弓取りなんて言葉もあるのように、主力武装は弓です。屋内や槍が使いにくい場所では刀も出番があったでしょうが、集団戦闘に剣が活躍する場面は実は少ないのです。

 

 だいたいに集団で、長い刃物を振り回したら味方に当たる可能性もあり大怪我させますが、槍ならせいぜい打撲止まり、訓練も少なくて済みます。

 

 つまり剣は武器としては弱く、念の為に護身用に持っておく物だという事です。江戸時代や、戦闘に参加しない指揮官などは、高価で威圧感のある刀剣を持つことに大きな意味があったという事になります。

 

 その高官や江戸時代の平和な時代のイメージ、そして映像にすると、槍よりもやっぱり軽くて高速に振り回す剣は映えます。

 

 そうなれば主人公には剣を持たせますね。主人公はそう簡単には、負けませんから剣が強武器としてのイメージを、増強させてきたわけです。

 

 魔法で防御を固めて、投石とか矢を無効化出来たり、超人的身体能力で回避したりできれば話しは変わるのでしょう。

 

 ですが、現実の弓とかクロスボウも現実離れした威力があります。

 

 時代や地域、使い手により差はもちろんありますが、最大飛距離400メートル以上に(飛ぶだけで、有効な攻撃力は別)、有効射程は80メートルくらいなのです。

 

 もちろん戦場では平地とは限りませんから、高所から撃ち込む場合や大人数ですか雨のごとく撃つと、有効射程は変動します。

 

 そしてフライパンくらいは余裕で貫通します。全身鎧は分厚くすると重すぎる事も考えると、圧倒的な攻撃力です。

 

 クロスボウと弓の違いは、誰でも撃てて、威力が高いのがクロスボウで、熟練を必要とするけど連射性が高く馬上で扱えるのが弓となります。

 

 日本の場合、武士は重装騎兵なのでボウガンは使われませんでした。ヨーロッパでは、農兵を遠距離攻撃させるには投石かクロスボウが一般的でした。


 このような差や水上などではまた違ってきますが、基本はやっぱり遠距離攻撃が基本で、次に長柄武器となります。


 銃も、思ったより早く歴史には登場しますが、弓やボウガンよりも低性能で命中率も悪くてなかなか使えないもしくは、高価すぎて実用性が無かったそうです。


 金属を多用するとコストが嵩む事はネックなのです。銃で命中率と射程を上げるにはライフリングを刻むのですが、後装式でないと弾がなかなか入りません。そして後装式は加工精度と、強度を両立させないと爆発したりするなどリスクが上がります。


 ライフリングを刻まなくても、装填してる間に矢を撃った方が強い時代も長くあったという事です。


 銃が剣や槍、弓に取って代わるには技術革新が思ったよりも必要なのです。特に黒色火薬は煙幕ほど煙が出て連射すると敵が見えなくて攻撃出来なくなります。逆手にとって、あえて煙幕にして突撃する銃剣突撃なんて、戦法も存在します。


 現代は煙がかなり少ない、銃や砲に最適化された無煙火薬を使うので銃剣突撃は廃れています。


 ざっくりとした、イメージの解説なので細かく見ると間違いもあると思いますが、参考になれば幸いです。

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ファンタジー用語解説集 エイル @eilu

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