農業は大切

 世襲制の身分制度は社会の技術レベル的に効率が良いと解説しました。

 

 ではなぜそうなるのか?そこを解説しましょう。

 

 異世界ファンタジーの基本的な農業の風景は、三圃式農業となります。これは家畜を育てる休耕地、夏穀、冬穀、をローテーションしながら天水(雨水)で育てます。

 

 なんとな~くイメージ湧きましたかね?これ問題があるのですよ。それでは解説します。

 

 

 現代日本では食糧難を実感しません。スーパーに野菜や魚、肉、お菓子など毎日沢山並びます。

 

 ですが、それは現代の化学のおかげなのです。

 

 農家さんなら知っていると思いますが、窒素・リン・カリウムが大きな肥料要素なのです。

 

 カリウムは地殻に多く枯渇の心配は少なく、リンは鉱石で採取出来ますが枯渇するとも言われています。

 

 ですが問題は窒素で空気中にあるのですがそのままでは使えません。それを使えるようにしたのがハーバーボッシュ法で水素と空気中の窒素からアンモニアを合成します。

 

 窒素は生物に必須元素であり、アンモニアは火薬の原料にもなります。

 

 窒素の大量供給により農地面積辺りの生産性は向上し、火薬の安定生産を可能としました。

 

 食料が増えれば、より多くの人が生きていけます。農業従事者以外の職業につける人が増えると研究者や技術者が増えます。

 

 機械化が進み、省力化されてどんどん近代化されていきました。そして子供に教育するコストを許容できるとこまでくれば世襲制は非効率となり崩壊します。

 

 農業生産性は技術の根底、社会基盤そのものなのです。肉だって農地から作られた飼料で育てられています。

 

 現代の豊かな社会の根底は食料が支えているのです。農家さんに感謝しましょう。

 

 って話がそれましたね。

 

 ファンタジー世界、特に剣と魔法なら生活水準からもハーバーボッシュ法は無しでしょう。火薬作って大砲使ったらSFファンタジーです。ジャンル変わりすぎですね。

 

 そうなると肥料原料を他に求めるか、そもそもスルーしましょう。そんな話になります。

 

 要するに窒素(肥料)が供給出来なくて農業生産量が限られて人口が増えない。逆に言えば口減らしが常に必要となり人命が軽い社会となります。

 

 肥料として人糞もありですが量が少なく、病気の媒介や寄生虫などリスクだらけです。それでも行うしか無かったのです。

 

 何しろ夫婦二人の子供が3人以上大人になれば、3人目以降の人数分だけ人口が増えて、食料不足に陥りますからね。少しでも食料が増えるなら何でもやるでしょう。

 

 戦闘が身近とか医療レベルが低くて死ぬとか以前に生きていく食料がないのです。そりゃ農地の権利や生活必需品の生産技術を見ず知らずの他人に誰が教えたり与えるか、という話です。

 

 

 さてこんな辛い中世の世界とファンタジー世界観は違います。

 

 そもそもスルーしても問題ないですね(笑)何しろエンタメですから。それで食料事情を現代日本と同じにしてしまうのです。

 

 もう一つは魔法で解決する。別の異世界肥料を用意する事でしょう。

 

 剣と魔法なら何でもありですからこんな力技もありです。

 

 また別の解決策として農地開拓も選択肢に上がります。効率が悪いならだだっ広い農地を用意するのです。

 

 また、三圃式農業から輪栽式農業へ転換して効率を上げる方法もあります。

 

 肥料不足で連作障害を防ぐため、家畜も飼うことで糞尿を農地の肥料にした農業手法で三圃式農業は中世ヨーロッパの農法です。その後、輪栽式農業の登場により効率が上がっています。

 

 知識チートなら取り入れても問題ないでしょうかね?

 

 さらに発想を転換して、冒険者が狩りや採取で大自然から肉や魚、野菜などを食料供給してしまうのも有りですね。

 

 これなら冒険者の存在意義もありますし良いかも知れませんね。これは、農耕民族ではなく狩猟民族に近い生活スタイルですね。

 

 これはこれで、狩りの成果で人口が決まるので安定はしないのですが、腕の良い冒険者が大量に供給すれば問題ないかも知れませんね。

 

 食料が魔物とかモンスターになるので、異世界感がより出るし、食事シーンのオリジナリティもついてインパクトも出ると思います。

 

 こんな風に農業一つでも世界観の構築に使えます。

 

 他の解決法に稲もあります。特に水田の場合なのですが、山から栄養豊富な水が流れて来ますので、水量さえ確保出来れば、連作障害による生産量低下は回避できます。

 

 大量の水の確保のためにダムとか、ため池などの土木工事も必要ですが、領地経営系の作品や貴族にアドバイスするシーンなどでは、一考の余地があるかもしれませんね。

 

 稲は麦に比べて多大な労働力を必要とすることも問題点としてあります。それこそ大問題なのですけども、生産量だけなら面積あたりも、労働者あたりも、多いのです。

 

 それならダム湖作って麦育てた方が安定しそうではあります。

 

 水田ほど麦に水をぶち込んだら育たないのでそんな解決方は無しですよ(笑)それって洪水なんですけどもね。

 

 そもそも中世ヨーロッパの世界をベースにファンタジー世界観を構築すると稲を育てるには雨量不足になります。結局作物は気候に合わせて効率が重視されて生産されています。

 

 あえてオリジナル作物、マッドな錬金術で品種改良とか使ったりも有りですね。

 

 何事も発想をいかに、それっぽく面白く表現するかなのです。力技でも何でも解決するのは、見せ場ですから、こんな知識も役に立つかも?

 

 

 農業風景は三圃式農業がファンタジー異世界の基本です。

 

 またしてもここだけで良いんじゃね疑惑がありますがまぁ解説なので結論は最後ですよね(;一_一)

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