第6話 修学旅行〜二人の思い〜

「おいっ!起きろよ!」



誰かが私を揺さぶる。




「んー、もう少し…」



ベシッ


頭を打たれた。



「いった!」

「目、覚めたか!比羅瀬 友花!」



ドキッ

胸が大きく跳ねた。



「瑞 零次っ!?つーか人の頭打つの辞めて!」

「じゃあ、チューが良かった?」

「もっと辞めて!魔法がかかって流れでヤっちゃいそうだから!」


「えっ…?」


「あっ…いや…今の聞かなかった事にして」

「無理だし!」

「忘れて!」

「無理!」



「……………」



「俺のキスで魔法掛かるんだ〜。比羅瀬 友花」

「き、聞き間違いでしょう?」

「聞き間違いなわけねーだろ!」



ムニュ


私の両頬を摘む。



「痛い…」

「ブッサイクな顔」



両頬からパッと離す。



「あんたがブサイクにしたんでしょう?まあ、元々、ブサイクだし問題ないんだけど。地味だしー、色気ないしー」


「学校のお前はな。でも、学校以外のお前は良い女じゃん!まあ、どっちのお前も知ってるつもりだから別に関係ねーけど。違う意味で好きだし」





ドキッ


かああああ〜っ!



「…うわっ!真っ赤なんだけど」

「どストレートに好きとか言うからじゃん!」

「どんだけピュアなんだよ!」

「…私にピュアなんて言葉は合わないよ。もう、汚れてるし」


「汚れてるって…」


「誰も知らないから、学校以外の私なんか。知らないからこそ、はたから見たら、所詮、男遊びの激しい女…」



グイッと、後頭部を押されキスされた。




「お前だけじゃねーだろ?俺だって女遊びの激しい男でしかねーんだよ」




ドキン

至近距離で言われ、何故か胸が大きく跳ねる。


「…瑞…」



見つめ合う私の胸は何故かドキドキ加速する中、ざわつく。




そう――――



まだ、この時は気付かなかった。



彼に対する想いに――――





数日後の放課後。



「あ、そうそう。私、修学旅行、行かないから」

「えっ!?お前行かねーの?」

「行く理由ないし。バレたら嫌だし」


「あー…でも自分の班の部屋のお風呂に入ればよくね?もしくは、女の子の日とか言ったら良いんじゃねーの?」


「それでも無理!絶対行かない!」



「…ふ〜ん…」


「零次、私の分まで楽しんで来なよ」


「クラス委員の友花が行かねーのは、つまんねーんだけど?」


「あんたのファンは沢山いるし、私の代わりはいるでしょう?」


「俺も休もうかな?」


「あんたは駄目だよ!」


「選ぶのはお前じゃなくて俺!」


「いやいや、クラス委員2人も休んだら」


「理由はいくらでもある!」




「………………」





そして、当日。



勿論、私は休んだ。


風邪なんて、ありきたりな嘘は、すぐにバレる。


不幸がありました。


ベストな理由ではないだろうか?


まあ、いずれにせよバレたらバレただ。


私は、そんな中、街に出た。



同級生とは確実に会わないのだから、気にせずに街をブラつく事は出来るはず。





「ねえ、彼女」



ポンと肩を軽く叩かれる。



「はい」



振り返ると同時にプニッと、私の頬を突付く。



「……!」


「何さぼってんだよ!比羅瀬 友花。しかも、普通に街ブラついてんじゃねーよ!」



ドキッ

私の胸が大きく跳ねる。



視線の先には。まさかのアイツ。


瑞 零次の姿があった。



「えっ!?ちょっと!何してんの!?」

「街ブラ」


「…いや…街ブラって…クラス委員2人休むのってどうなの!?」


「知らね!お前が来ないなら意味ねーし!」

「あんたが休む意味分かんないから!」

「まあまあ、良いじゃん!」

「良くないよ!」



グイッと肩を抱き寄せる。



「な、何!?」

「いや、ナンパしたら出掛けるじゃん!」

「あんたと!?」

「勿論!」



グイッと引き離す。



「……………」



「か、帰ろう!つー事で、他当たりなよ」


「待て!」

「やだ!待た…っ!」



キスされた。



「ちょ、ちょっと!キスす…っ!」



再びキスされ、グイッと肩を抱き寄せる。



「とりあえず出かけようぜ。2人きりのプチ旅行」

「りょ、旅行って…」



取り敢えず私達は出掛けた。


人目気にせず回れる、遊園地。


閉園まで遊び、辺りが暗くなりかけ、私達は帰る事にした。




「なあ」

「何?」

「俺ん家、来ねー?」

「えっ…?…いや…」



「………………」



クイッとアゴを掴まれキスをされ、深いキスをされ、何度も濃厚なキスを繰り返される。


吐息交じりの声が洩れてしまった。



「息あがってるけど?」



ドキン…



同級生とは思えない大人びた対応。


これが私のまだ知らない彼なのだろうか?


ドキドキと胸が加速する。




「わ、私は…そんなつもりで…」

「でも、他の男とヤるんだろう?」

「…それは…でも…」



「…………………」



「…分かった」



零次は帰り始める。



「………………」



少しして、振り返る零次。




「友花?何してんだよ!帰らねーの!おいて…」


「…零次は…本気で好きだった相手から関係持った直後にフラレた事ある?」


「えっ…?」


「…ごめん。…やっぱ良いや…何でもない」



私は零次の横を横切る。



グイッと腕を掴まれた。



「それって…お前…そういう過去あったって事?」

「…ううん…ないよ。聞いてみただけ。帰ろう!」

「友花っ!話せよ!」



「………………」


私は、迷ったあげく話す事にした。



「私さ…好きな人に…全部捧げたら…彼、急変したんだ…本彼女(ホンカノ)いるって…フラレちゃった…笑っちゃうよね?マジ好きで、告白したら即、OK。私…一人でバカみたいに浮かれて……本気だったのに…相手は本気で付き合ってなかった…」



「………………」



「だから男って嫌いなの!正直…怖くて仕方がないよ…関係持ったら、また、フラレるんじゃないかって…だから恋なんて…しないって決めたの!恋愛しなきゃ傷付く事ないし」



「俺と変わんねー、人生送ってんだな?」


「えっ…?」


「俺…浮気相手に過ぎなかったからな…カッコイイから告ってきたかと思ったら実は、本彼いんの。修羅場なった時もあったし。人間ってこえーと思った。だから、俺も恋愛しねーと思ってた」



「…零次…」



「…だけど…今、お前の話を聞いて…お前となら、ゆっくりでも…付き合ってみる価値あるかもって…お前の今の気持ち聞かせてくんねーかな?」


「…私は…」


「正直…男遊び激しい割りには、純粋(ピュア)過ぎるギャップに、友花の事、もっと知りたいって思ったのもある」



ドキン…



「…あんたの事…嫌いじゃないよ。でも…好きとなると、何か違うし…」


「そっか…まあ、お互いの気持ちハッキリしていない部分あるからな」


「…うん…正直…今の仲を壊すのは嫌だって思う」




グイッと腰と後頭部を抱き寄せるられると、すぐに唇を奪われた。


今迄に見た事ない瞳の奥からのぞく零次の優しい眼差しに胸がドキドキと加速する中、胸がザワつき、私は自ら零次にキスをした。




「誘惑してんの?」


「…そんなつもりは…私…傷付くのが…怖いから…このまま流れに任せて良いのかな?って…」


「友花…だったら…お互い傷付いた心…埋め合わせしていかないか?」


「えっ…?」


「つーか…その方がお互いに良いと思うけど?」




「………………」




私達は普段通りに会話をし、零次の家に行く事にした。


家につくと、私は一気に緊張し、胸のドキドキが聞こえるくらいに加速と体が熱くなってきている。


尋常じゃない。


私はあがれないでいた。




「友花?」

「ごめん…えっと…」

「…もしかして緊張してんの?」

「…それは…」



零次は私の手を優しく掴むとあがらせた。



「………………」



フワリと抱きしめられ、オデコにキスされた。



ドキン…



「さっきは、スッゲー、お前を抱きたいって思ってたけど、何か、お前を見ると焦らなくても良いやって思える。思った事、気になった事、素直に言って良いから」



零次は、いつになく優しく対応してくれた。



「零次、私、そろそろ…」

「泊まれば?」

「えっ?」



時間は、夜8時を回ろうとしていた。



「どうしても帰るなら送るけど?」



本当なら帰るつもりだった。


だけど、一緒にいたいとも思う。


うちは、そこまで厳しい家庭ではないから、泊まるなら連絡を入れれば、問題はない。


そんな零次も両親がいない状況だ。


いわゆる、現段階では二人きりだ。




「………………」



「どうする?」

「一緒に…いる…」

「そっか」



「………………」



私は、親に連絡をし泊まる事にした。











































































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