第6話 マネージャーと反省会……?

「終わった……。」


事務所での初配信が終わり、帰ろうとした時だった。


「流、待って~」


凛お姉ちゃんだ。青空心(流)のマネージャーになった。僕に追いつくと、書類に書いてあったことをやっていないと教えてくれた。それは初配信の反省会だ。なので凛お姉ちゃんと一緒に帰り、凛お姉ちゃんの部屋で反省会をすることになった。



「それでは~初配信の反省会を始めます!拍手~」


緊張で固まっている僕を見てお姉ちゃんは大笑いをする。


「流?そんなに身構えないでいいのよ?完璧だったし。」

「なら、やらなくてもいいんじゃ?」


と聞くとダメダメ、と指を振り回した。


「反省会は絶対やらないといけないの。褒める会になりそうだけど。」


最後の言葉、聞こえてるよ~。褒められるのも緊張するんだから。


「じゃあいくね。青空 心さんの初配信は完璧でした!けれどもう少し、リスナーさん達に反応してあげて。それに言葉が少ない!もうちょっと喋らなきゃ。」


それって完璧じゃないんじゃ……?ガーン、と落ち込んでいる僕を見てお姉ちゃんは慌てる。


「で、でもね?チャンネル登録者数が初配信だけで、21万人になっているのよ?こんなの初めてよ!それぐらい凄いんだから。」


えっ、21万人!?慌てて僕のチャンネルを見ると、本当にそうだった。


「これって、バグ……?」


明らかに動揺している様子を見て嬉しそうに言う。


「バグなわけないじゃん!!これは本当だよ!」


……僕って天才?神なの?………いやいや、そんな訳ない。


「あとね。プロフィールに付け加えしといたから!見てみてね。」


画面をスクロールしてプロフィールのページへ行くと、こう付け加えてあった。


名前:青空 心

年齢:17歳

身長:145㎝

体重:ひ・み・つ♪

趣味:読書、料理

好きなもの:甘いもの、本

苦手なもの:辛い物、苦いもの、虫

社長からひと言:こんなに可愛くて、素直で、優しい子世界に一人しかいないよ!こんないい子欲しかった!!

 

社長からひと言……………。

あっ、書かないで!と、あんなに言ったのに。本気で怒った僕は、心ちゃんの声でこう言った。


「凛お姉ちゃんなんて大嫌い!もう知らないもん!」


効果大。涙目でお姉ちゃんは土下座して、もうしません!絶対しません!なので許して下さい~と謝ってきた。


「もうしない?絶対に?」


と聞くと、首をぶんぶん縦に振ってしません!しません!と言ってくれた。なら許してあげよう。こんな感じで反省会は続くのだった。



『これで、初配信を終わります!見に来てくれた人、ありがとうございました!青空 心でした!』


「これで見たのも10回目かな?ルラル先輩、心ちゃんのガチ勢リスナーになっちゃいそう。絶対に初コラボ狙って心ちゃんに恥ずかしいこと言わせたい!」


そう言い、怪しげに微笑むへんた……人がいたのだった。

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