第2話 貴族の息子に転生したらいつの間にか孤児になった

竜神優斗が異世界『ロマリア』に転生して10年の月日が経過したある日、

ある場所の一角で女性らしき声が優斗に聞こえてくる。


『......坊ちゃま......起きて下さい.....』


誰が呼んでいる......坊ちゃま? 俺の事か?


『リオン坊ちゃま......起きて下さい......』


リオン坊ちゃま? それが俺の名前なのか?


『リオン坊ちゃま....起きて下さい.....もう.....起きろ! このクソガキ! パンパンパン!』


「痛てえ! 何をするんだ!」


『おお! リオン坊ちゃま! 大丈夫ですか? このマリア、坊ちゃまが死んだらどうしようかと思っていました!』


俺を起こした女性が抱き着いて来た。

こいつ......俺を起こすのに何で往復ビンタを10回も叩くのだ!

お陰で....ホッペが赤く腫れて団子顔になってしまったぞ!

どうしてくれる!

このバカ!.....ってこの人誰だっけ?

そうだ.....俺の専用侍女だったか.....確か.....クリスって言っていたか?

ううううう、俺の頭が痛い!

俺の頭の中に誰かの記憶が入り込んで行く!

.....そうだ! 思い出した!

俺の名前は竜神優斗じゃなくて、今は転生先の名前リオン=ロックバーグだったんだ!


俺はリオン=ロックバーグの記憶を思い出した。

俺の名前はリオン=ロックバーグ 歳は10歳。

ベルマーク王国の貴族でレオン=ロックバーク辺境伯爵とその妻であるシルティア=ロックバーグの間に産まれた一人息子であり、ロックバーグ家の跡取りだ。

確か領都ロックバーグから馬車に乗って、王都に向っている際中に魔獣に襲われて俺は瀕死の状態だった...はず。

そして、隣に座っている長い金髪で蒼い狐目をしたツンとした女性、名前はクリスティと言い普段はクリスと呼んでいる俺の専用侍女である。

歳は...確か19歳のはず。

身長は170ぐらいでスタイルは抜群、しかも胸はメロン級なのだ。

しかも、重度なショコタンなので俺の事をいつもイジって来るのが欠点だ。

このバカメイドのクリスの往復ピンタで目が覚ました訳だ。

死にかけている相手にピンタなんかするなよ!

おかげでほっぺが腫れ上がってアン○○マン見たいになったじゃないか!

....ってこの部屋は何処だ?

そのショコタンバカのクリスに話を聞くとするか?


「なあ....クリス。此処は何処?って胸が俺の顔を挟んで....苦しい....苦しいって言っているだろうが!」


クリスの野郎.....メロンの胸を俺の顔に挟んで...このままだとこいつの胸で死んでしまいそうだ.....あの兄妹の神の願いが出来ないだろうか!

俺はクリスの胸地獄から抜け出し、そのままクリスの頭に脳天チョップをする。


『いやん♡ 坊ちゃま。いけません....こんな所で♡』


チョップして悦になっていやがる...このショコタンメイドめ!


「バカ言っているんじゃない! 此処は何処だと言っている! バカクリス!」


『は~~~~い! 此処はザクソンの街の教会にある孤児院の部屋の中です』


「ザクソンの街? 孤児院? どうしてこうなった?」


『それは.....坊ちゃまがあの世とこの世を彷徨っている間に色々ありまして.....』


クリスは俺に孤児院の部屋にいる経過を聞くと、

馬車が魔獣に襲われた後、俺が意識不明の状態で王都までには此処から1週間かかる為、此処から近い街ザクソンに行く事になる。

馬車を操縦していた騎士の一人がこの街の教会にある孤児院の出身であったのでザクソンに到着後、すぐに教会の孤児院に向って俺を休ませたのだ。

その後、教会在中の専任治療師によって俺の状況を確認、傷が酷かったので回復魔法をで傷を回復したのだが、俺の意識が戻っていなかった。

そこでクリスが...俺を起こす為にあれをしたのである。


「何となく分かった。俺を起こしてくれてありがとうな、クリス」


『いいえ。坊ちゃまの寝姿と.....全裸を見て私は嬉しいです♡』


こいつ.....俺の全裸を見て興奮していたのか???

取り合えずこいつの事は置いといて色々と確認しないと行けないなあ。

特に両親の事や領都の事など....。

クリスなら、屋敷にいたはずだ聞けばわかるだろう。


「クリス。俺は瀕死の状況前の記憶があやふやなんだ。父上と母上の事と領地の事をお前がわかる範囲で教えてくれないか?」

 

『坊ちゃま....それは....』


「俺は大丈夫だ。覚悟もしているので話してくれ」


『分かりました....実は』

クリスは淡々と話し始めた......。

その内容は..実に俺に取っては悲惨な事であった。


『此処に来る半年前、坊ちゃまが10歳の誕生日を迎えた時、領都にある女神エレーナ教の教会で職の信託を受ける事になりまして坊ちゃまんの職が決まりましたが....』


「その職業とは?」


『旦那様と奥様から他言無用と言われまして.....』


「俺なら問題ないだろう? 何せ本人が知らないと今後どうしたら良いのかわからん」


『わかりました.....信託での坊ちゃまの職業は.....無職フリーターと言う職です.....司祭様が言うのは職なしと言われました.....』


無職フリーター?」


『はい.....。それが解り旦那様達は悲しい顔をしていましたが、職がないから知識を植え付けたら良いと思い家庭教師を雇い一か月前まで勉強しました』


無職ふりーたーだと?

ゲームでの職業なら......マジで最強職業じゃんか!

今は職業の事は置いといてその後の話を聞かないと。


「それで、その後は?」


『一か月前、我が領地に魔物軍勢が多数発見されて、旦那様は魔物討伐の準備をしていました。その軍勢が段々と大きくなってきて1週間前には領都に進行してきたのです。その数は.....約30万ほど』


「約30万の魔物達が領都を襲撃しただと?」


『はい。激しい戦いでこちらの兵力の殆どが壊滅状態で、生き残ったのが屋敷にいた人達しかいなかったのです。其処で旦那様と奥様は坊ちゃまを脱出させる為に私と護衛の騎士20名を屋敷から脱出させたのです』


「屋敷には父上と母上の他には誰がいたのか?」


『いいえ。旦那様と奥様と執事長の3人のみです.....。私達が領都を出た時は、護衛の騎士も騎士団長他5名しか残っておらず.....屋敷には魔物達で埋まっていました......。旦那様達はで30万の魔物を全滅させたのです....。』


「ある方法とは?」


『それは.....。私も旦那様と執事長の話を少し聞いたのですが...理解出来ませんでした.....』


俺は竜神優斗の頃を思い出してある結論を出した。

それは.....。


「クリス。ある方法とは、大規模な爆発だろう? 領都壊滅する程の爆発か?」


『!』

俺の言葉で驚くクリス。

其処で俺は前世の知識を思い出して話始めた。


「俺の考えを言って良いか?」


『どうぞ?』


「30万の魔物の軍勢は、我が領地を邪魔になった他国から派遣した魔族からだと思う。確か、魔族は魔物を召喚させる事ができるはずだ。30万の数だと魔族が100人いれば召喚する事が出来る。多分、隣の国『ベルガイア王国』だろう?」


俺は推測をクリスに話す。

内容はこうだ。

俺がいたロックバーク領は、中央大陸の東側にベルマーク王国に属している。

中央大陸には東にベルマーク王国、北西側にバイデン王国と南西側にベルガイア王国の3つの国がある。

バイデン王国とベルガイア王国は20年前から紛争状態であり、両国からベルマーク王国から援助をしてもらう為に交渉している。

バイデン王国とベルガイア王国とベルマーク王国の間にはビルト平原が以前はあったのだが、今は森となっていて多数の魔獣が住み着いている。

ロックバーク領はその森に近い場所になっていてベルマーク王国内の最大兵力を持っていたのだ。

代々、ロックバーク家は代々この土地を防衛している最大貴族で、特に今の領主であるレオン=ロックバークはベルマーク王国最強の『魔法戦士』であり、その妻であるシルティア=ロックバーグは王国最強の『大魔導士』で王国内では『最強夫婦』と呼ばれていたのだ。

バイデン王国は魔法より機械を使った工業が発展していた国でベルマーク王国とは友好の関係をしてバイデン王国から農業機械などを輸入し、その代わりにベルマークから魔法技術の魔道具を輸出していた。

逆にベルガイア王国からは余り交流がしていない為、最低限の輸出入のみで行っていた。

10年前、ベルガイア王国の王が新しくなり、ベルガイアは中央大陸を統一する為にバイデン王国と紛争を始めた同時にベルマーク王国も攻め込もうと考えをしていた。

特にロックバーク領を何とかしないとベルマーク王国を侵攻出来ない為、魔族と良力して魔物の大量発生をさせてロックバークを壊滅させようと考えたと俺は思った。

両親はそれを見越してある方法を領内に設置させて、最終手段として残したのであった。

その方法とは......。


「それで、父上と母上は状況が悪いと考えて最終手段を取ったのだ。それがロックバーク領全域を壊滅させる自爆装置を領内に置いて爆発させたのだ」


そう....以前に竜神優斗が議員会館での襲撃に首謀者が使った小型核爆弾と同じ方法だったのだ.....。


『はい.....私達が領都を出た途端、大規模な爆発が起こって....領都は跡形もなくなりました...。旦那様達はもう...自爆して亡くなったと思います....。』


生き残ったクリス達は王都に向う事にしたのだが、生き残った魔獣達に襲われて、俺が瀕死の状況になってしまったのだ。

と言う事は俺はこの先どうなるのか?


「クリス、ありがとう。すまんが今日は一人にしれくれないか?」


『分かりました....。おやすみなさい....ぼっちゃま』


「おやすみ。クリス」

クリスは部屋を出て行った。

一人になった俺は、この先の事を考える事にした。

そうだ....。

俺の職業である無職フリーターについて考えるしかない。

あのゲーム通りなら...って思って考えていると


『やっと、封印が解けたのね!』


『封印が解けて記憶が一体になったのだな?』


頭から聞こえてくる...しかも男女の声が....。

その声は、俺を転生させた神、ウリエルとエレーナの兄妹の神であった。



~作者より~

最初の頃は主人公中心に展開していきます。

メインヒロインの登場はまだ決まっていません。

ちなみに前作のヒロイン関連の人物と思って下さい。

面白いと思った方は是非とも評価をお願い致します。



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