第2話

 終わったと思った。

 

 

 もう俺の人生、これで終わりって。

 

 

 

 

 

 今シーズン最後のスキーだって、俺はツレ数人とスキー場にやってきた。

 

 

 スキー場に来て、じゃあ次は昼にここなって解散して、各々が好き好きに滑った。

 

 

 

 

 

 滑って滑って滑って。

 

 

 

 

 

 あんなに晴れてた空がみるみる曇って雪がちらつき始めた。

 

 

 でも今シーズン最後だし、もう昼だし集合時間だしって乗ったリフト。

 

 

 てっぺんにつくと同時に吹雪になった。

 

 

 

 

 

 どうする?

 

 

 

 

 

 そのまま引き返す人がほとんどの中、一瞬悩んで。

 

 

 いや、でも滑って行けばいいだけだしって、俺はリフトをおりた。

 

 

 

 






 

 白。






 

 

 白。真っ白。ホワイトアウト。

 

 






 

 

 

 寒いのを通り越して痛い。指先から感覚がなくなっていく。

 

 

 

 

 

 スキー歴はわりと長い。今じゃほとんど転んだりしない。

 

 

 ちょっとぐらい視界が悪くてもなんて思ってた俺がバカだった。

 

 

 

 

 

 派手に転んだ。

 

 

 滑り落ちた。

 

 

 どこに向かって落ちてるのかも分からなかった。

 

 

 

 

 

 気づいたら。

 

 

 方向も分からない真っ白な世界にひとりきり、だった。

 

 

 

 

 

 むやみやたら歩きまわるのは危険だ。

 

 

 今居る場所がゲレンデなのかどうかも分からない。

 

 

 歩いた先に何があるか分からない。

 

 

 

 

 

 白。

 




 

 こわいぐらい白の世界。

 

 

 右も白左も白。

 

 

 東西南北も分からない。

 

 

 

 

 

 痛いところは特になかったけれど、これじゃあ。

 

 

 

 

 

 雪は風とともに猛烈に舞い荒んだ。

 

 

 

 

 

 これ、あとどれだけ経ったらやむんだ?

 

 

 

 

 

 空を見上げたところで真っ白で何も分からなかった。

 

 

 人生終わったと思った。

 

 

 

 

 

 びゅううううううううっ………

 

 

 びゅううううううううううううう………

 

 

 

 

 

 風の音が、俺の耳を。

 

 

 

 

 

 つんざいた。

 

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