2015年3月2週③

「びいばああああんん!」

「え?何?」

カッ。シュヒュー。ボボボボボボボボ。

「まあ、あばばびっばああああい!」

「さかな?」

「ぶん!びべびべ!ぶぼいぼっべぐぶう!」

「うわ、あやちがさかなまみれだ。」

「ばびん!」

「え?ああ、写真か。あやち誰かわかんないよ?」

「ばびん!べーい!」

シュコー。ブブブボボボ。


「すごかったー!」

「まじで、やってよかったね!」

「ダイビングまたやりたいね!」

「ん-、そうだね。」

「なんか乗り気じゃないよ?」

「いや、本気でライセンスとろっかなって考えてた。」

「え!ほんと!?」

「わかんないけどね。」

「やったー!これであやちもいつでもダイビングできるー!」

「でも、やるなら南に行かないとだめだね。」

「熱帯魚?」

「まあ、サンゴとか熱帯魚とか、ダイビングといえばってね。」

「カラフルだしね!」

「そうれもそうだねー。」


「いや、最高だね!」

「ちーちゃん、ダイビング終わった時よりも笑顔じゃない?」

「だって!船上バーベキューってすごくない?」

「たぶん、バーベキューよりもお酒だよね?」

「まあ、そうなんだけど!でも、凄くない!」

「あやちはもうちょっと野菜も欲しいかも。」

「そんなこと言ってたらダメじゃん!バーベキューだよ!?お酒飲んでお肉食べて、それでいいじゃん!」

「しかも、ダイビングの間我慢してたしねー。」

「あっちの人たちなんて、一足先に飲みやがって。わたしよりも先に飲むなんて。」

「ダイビングやるから仕方ないじゃん!」

「あの瞬間ばっかりはダイビングやるって言いだした自分に後悔したよね。」

「ホンキ?」

「だって!わたしが飲めないお酒を目の前で飲まれるなんて拷問じゃん!」

「ほんと、ちーちゃんの人生ってお酒が中心だね。」

「楽しくていい人生じゃん!」


「いやちょっと待って!これは無理!」

「だめだよ!もうお金払っちゃったんだから!」

「こんな高いって聞いてない!」

「死なないから。大丈夫!」

「無理無理無理!絶対無理!やらない!わたしむり!」

「あー!ちーちゃん!」

「下でカメラ撮ってるから!あやちは楽しんできて!」

「あー!ちーちゃーん!」


「たのしかったー!」

「なんであやちはあんなことできるの?」

「だって、楽しいんだもん!」

「高いよ?」

「でも景色が良かったよ?」

「あんな空中回廊、自転車で渡る必要ないじゃん!」

「でも、日本じゃこんなことできないよ?」

「そもそもやる必要ないもん!」

「せっかくボホール島まで来たのに、アスレチックやらなかったら意味ないよ?」

「あやちが楽しんでればいいの。」

「ちーちゃんも楽しまないと。もったいないよ?」

「お金が無駄になっても、寿命縮めるよりいいから!」

「一番の目玉らしいのに。」


「…………。ねえ、ちーちゃん?」

「なに?」

「なんでフィリピンにカタカナTシャツが売ってるの?」

「……。なんでだろうね。買ってく?」

「え?」

「え?」

「ちーちゃん、買うの?」

「ちょっとほしくない?」

「カタカナTシャツだよ?」

「でも、きっとタグにフィリピンっぽさが。……。」

「どうだった?」

「made in China。」

「なんだか、すごいね。」

「……。逆に買おうかな?」

「趣味悪いよ?ちーちゃん。」


「多いしさ。」

「うん。」

「辛いしさ。」

「うん。」

「お肉ばっかだしさ。」

「うん。」

「日本食が恋しいね?」

「お酒がすすむよ?」

「……。ちーちゃんはどこに行っても楽しめそうだね。」

「そういうあやちは、好き嫌いないのに辛そうだね。」

「たしかに。好き嫌いで言えばちーちゃんの方がよっぽど多いのにね。」

「屋台料理が味付けが濃くて、ちょっと辛くて、わたし好みで酒飲み好みだから良いのかもね。」

「なにもかもがあやちに合わないよね。」

「でもこれでフィリピンのご飯も最後だよ?」

「けっこういろんなお店で食べたし、満足かも!」

「わたしはまだまだ食べ足りないけどね。」

「フィリピン満喫してるね!」

「あやちは楽しくなかった?」

「めちゃめちゃ楽しかった!」

「じゃあいいじゃん!明日は朝早いからのんびりしてられないよ!」

「でも、まだ全然時間あるじゃん。」

「まだ飲んでないお酒飲みつくしてから帰るよ!」

「えーっ!」


「うま。」

「うわ。ホントに。おいしい。」

「味噌ってすごいんだね。」

「味噌汁に泣きそうになったのは初めてかも。」

「このカツどん美味しいよ?」

「あやちのラーメンもおいしいよ?」

「一口頂戴!」

「だめー!」

「えーけちー!」

「うそー!はい、あーん!」

「あーん。…………。うわ。スープも。」

「ふー。ふー。……。熱いかな?」

「いいよ!大丈夫!……。ずずずー。……。うわ、信じられん位美味しい。」

「あやちも、かつ丼食べたい。」

「あやちとかつ丼って似合わないねー。……。はい、あーん。」

「あーんっ!……。うわ!えー!かつ好きになるかも!」

「はい、ご飯も。あーん。」

「あー、んっ。…………。ん-っ!フィリピンのご飯とは全然違うね!」

「ね!」

「帰国後すぐにお母さんのご飯食べたかったかも。」

「それわかるー!」

「ちーちゃんのご飯でもいいよ?」

「じゃあ、今日は帰ったら味噌汁でも作る?」

「手作りの味噌汁ね?」

「……。手作り?」

「インスタントはダメだよ?」

「やっぱ、やめよっかな。」

「なんでー!もう約束しちゃったからだめー!つくってー!」

「もー、なんて我がままなんだ。」

「だって、あやち、ちーちゃんにだけはわがままだもん!」

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