2015年2月3週

「ねー、ちーちゃん!次の週末時間ある?」

「え、週末?まあどうせ予定ないよ?」

「お出かけしよー!」

「どこ行くの?」

「ガラス工房」

「ガラス?好きだっけそういうの?」

「けっこー好きだけど、というか、作るの!」

「作るの?」

「作るの!」

「体験?」

「そう!」

「いいじゃん!いいね!」

「でしょー!」

「吹きガラス?」

「それもやってみたかったけど、今回はとんぼ玉。」

「なにそれ。」

「なんかね、ビー玉に模様付けるやつ。」

「ふわっとしてるけど、それ作ってどうするの?」

「えー、何でもできるじゃん!アクセサリーにするとか!」

「あー、なるほどねー。じゃああやちは何にするの?」

「あやち、ピアスにしよっかなって!」

「え、あやちピアス開けてないよね?」

「うん。だから、作ったら開けよっかなって。」

「アクティブだね。」

「ちーちゃんはピアス開けないよね?」

「怖いじゃん。」

「怖いけど、おしゃれじゃない?」

「恐怖と釣り合わないよ?」

「……。ねえ、ちーty「やだ!」。まだ何も言ってないのに。」

「分かるよ!『ちーちゃんもピアス開けない?』って言うんでしょ!」

「だいせいかーい!」

「ほーら、言わんこっちゃない!」

「でも、どう?開けてみない?」

「開けても、つけないと思うから。」

「でも、ペンダントは付けてくれてるじゃん!」

「これは……。あんま邪魔になんないから。」

「じゃあ、邪魔にならないピアスなら付けてくれるんだ!」

「…………。ま、まあ。……。」

「ホント?」

「分かんない。けど、まず開けるのが怖いし。」

「じゃあ、まずピアス開けよっか!」

「へ?」

「いつやろっか?明日やる?」

「ちょっとちょっと!」

「明日買っとくね。あ、それとも一緒に行く?」

「いやだから、ちょっと!」

「あやちも全然分かんないから、店員さんに聞きながらだと思うけど。でもホントは病院で開けるのが良いんだよね。」

「え、病院?」

「市販のキットで開けることもできるけど、心配なら病院で開けるのが一番かなって。それならちーちゃんも安心でしょ?」

「え、そ、それなら……。」

「やったー!じゃあ今度予約しとくね!」

「えー、でも。」

「いいじゃん。やっぱり怖いからやめるってなってもいいし!まずは予約しとくね!」

「う、うん。」

「じゃあ、来週はピアス作って、再来週にピアス開けよーね!」

「あー、うん。わかった。」




「えー、とんぼ玉大きくない?」

「ビー玉みたいって言ったじゃん!」

「ちょっと想像より大きかったから。」

「それはちーちゃんの想像力がないだけじゃん!」

「いやー、まあそうなんだけどさー。これ耳につけるのはさすがにちょっと邪魔かなーって。」

「それは確かに。そうかも……。」

「でしょー。」

「ちょっと聞いてみよっか。すいませーん。」


「はい、如何でしょうか、お決まりになりましたか?」

「あのー、とんぼ玉の加工にしようかなと思ってるんですけど、ピアスにしたときこれって重くないですか?」

「そうですね、このサイズだと重いと思いますので小さくして作っていただければと思います。サイズも自由に決めていただけますので。」

「なるほどー、ありがとうございます。もう少し悩んでみます!」

「はい、ごゆっくりお決めになってください。」


「だってー。」

「どうする?別に他にも体験あるけど。」

「でもせっかくならこれやりたいよね。」

「あやちはとんぼ玉にするけど。」

「ん-。じゃあわたしもとんぼ玉にしよっかな。」

「ピアスにする?」

「ピアスにしよう!」

「おお!ちーちゃんがやる気だ!」

「せっかく誘ってもらったしね。病院も予約してあるんでしょ?」

「もちろん!」

「じゃあ、足踏みしてたら勿体ないしね!やってみようか!」

「やったー!じゃあ、あやちはちーちゃんのピアス作ってあげるね!」

「またそれか。じゃあわたしは自分の好きな奴作って「あやちの作ってよー!」、はいはい。作ってあげるから。」

「うん!じゃあ、二人ともとんぼ玉ね!すいませーん!」




「うわ、ちーちゃんめっちゃ不器用じゃん!」

「ちょっとあやち、うるさいよ!」

「全然棒回せてないじゃん、ガラス丸くならないよ?」

「もー!うるさいなー!これから丸くなるから良いの!」

「それあやちがつけるやつなんだから、ちゃんと作ってよ?」

「あやちこそ、わたしがつけるやつ作るんでしょ?ちゃんと作ってよ?」

「あやちはこういうの得意だから良いのー!」

「もー、集中してるんだから、話しかけないで!」

「はーい。あ、あやちも向こうで作ってくるね!」

「頑張って綺麗に作ってよ?」

「ちーちゃんに心配されなくても大丈夫だから。」


「あ、お客様、ちょっと大きすぎるかもしれないですね。ピアス用でしたよね?」

「あー、そうですねー。……。ここから小さくできますか?」

「模様が少し歪になってしまいますけど、よろしいですか?」

「まあ、それもアジって言うか。大丈夫です。お願いします。」

「かしこまりました。」


「どうしましょうか、このまま球で作ってもいいですし、少し押してあげて俵型にしてあげてもいいですけど。」

「ん-、でも球のままの方が可愛い気がするので、このままで大丈夫です。」


「はい、ではあとは40分ほど冷ましてから完成となりますので、ピアスにつける金具等をお選びいただきましょうか。」

「はい、お願いします。」

「ピンク系の色合いで作ってますので、それに合うように選んでいただきますと、しっくりくるかなと思います。」

「ありがとうございます。」


「ねえあやち?これとこれ、どっちがいい?」

「えー、その辺もちーちゃんが決めてよー。」

「2択までは絞ってあげてるんだから、最後くらい選んでよ。自分のじゃん。」

「むー。じゃあちーちゃんが好きな方。」

「どっちも好きなんだけどなー。」

「しいて言うと?」

「ん-、シルバーの方が良いかなー。」

「じゃあそっちが好きー!」

「適当だねー。」

「ちーちゃんが好きなやつがあやち好きだもーん!」

「わたしのは?」

「え?もう決めてあるよ?」

「え!わたしに相談もなしに!」

「だって、プレゼントだから、全部決めてあげたかったんだもん。」

「なんだろ、この乙女。」

「へへー。」

「ま、いいや、楽しみにしてるね!」




「では、金具も選んでいただきましたし、とんぼ玉も冷めましたので、この後組み上げますが、お時間1時間ほどかかってしまいますけど如何しましょうか。」

「えーっと、どうする?」

「別に今ピアスが開いてるわけでもないし、送ってもらおっか。」

「じゃあそうしよっか。じゃあ後日発想でお願いします。」

「分かりました。では、こちらに住所とお名前をご記入ください。明日、明後日には発送できると思いますので。」

「はー、おねがいしまーす!」




「どうしよっか。」

「微妙に時間できちゃったね。」

「今日予約しとけばよかったね。」

「いいよ、時間どれくらいかかるかわかんなかったし。それより、お腹空いたね。」

「だねー。あやちそばが食べたーい。」

「いいねー。あ、いつかわんこそば食べたいね。」

「わんこそばって、あの器が開いたら次々入れられちゃう奴?」

「それそれ!」

「それって、お客さん一人一人に一々ついてくれるのかな?」

「あー、確かに。でも、わんこそばやるならついてて欲しいよね?」

「せっかくやるならねー。その辺で蕎麦食べながら調べよっか。」

「そうだね!じゃあ、まずは近くの蕎麦屋さん探さないと。」

「よろしく!」

「もー!ちーちゃんも調べてよー!」

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