2014年12月4週⑤

「ちーちゃん、いれるよ?」

「…………。うん。」

「あの、痛かったら……。」

「大丈夫だから。」

「でも。」

「わたし処女じゃないから。」

「あ。」

「だから、大丈夫。でも、キスがほしい。」

「うん。」


随分とキスだけで弄ばれてしまって。

わたしの体は十分に出来上がってるみたいで。

もはや欲しいのか欲しくないのか分かんないくらいに、あそこの感覚はなくて。

でも確かに下腹部が信じられないくらい熱くて。

火傷しそうなくらい熱くて。

何かがお腹の中で渦を巻いてるみたいになってて。


あやちの指がわたしを這う。

あやちの視線がわたしのあそこに集中する。

わたしも入れやすいように、片膝を立てる。

正しい場所に指が当たったかと思うと、異物が侵入してくる。

『あやち。』

絞るような声で、あやちに聞こえたのかどうか分かんないけど。

わたしの口は塞がれて、思考を口に集中させる。

意識をあそこから離さないと、トんじゃいそうで。

体ががくがくと震えて。

きっと気持ちいいんだろうけど。

でも怖くて。

あやちの指を意識できなくて。

あやちの口に意識したくて。


もう気持ちいいのかどうかよくわかんないけど。

キスがまともにできないくらい顔は動いてて。

声も漏れてて。

じゃあやっぱり気持ちよくて。

『んなあぁぁああっ。んんっ。んちゅっ。んああぁ。』

気持ちいいことが分かったら、余計に気持ちよくなってて。

もう止められなくて。

キスしなきゃいけないのに。

あやちの口は全然見つからなくて。

だからもう意識をそらす道具はなくて。

ただ、襲い来る感覚に身がよじれて。

たまに触れ合う口が嬉しくて。

『ああぁぁっああ。ああぁん。んんふぅ。んんっふ。んにゃあぁぁああ。』

キスすらもただの快感に成り下がって。

もうわたしの口は悦びを吐き出すしかできなくなってて。

恥ずかしくて止めたいのに、止めれなくて。


「あやち!い、イキそ、う!」

「…………。すg…………。m……てね。」

「もう!むり!むり!イク!イッちゃうから!」

「……。s……。……かs……ね。がm…………もいい……。」

「あ!あやち。あやち。 あや、あy、あ、ああぁぁぁああっああっぁぁっ!!!」




「おはよ、ちーちゃん。」

「……。ぉはょ。」

「もうちょっと寝る?」

「……むー。」

「朝ご飯は?」

「たべ、た、る。」

「『食べたる』?めっちゃ上からじゃない?」

「ち、がくて、たべ、る。」

「じゃあ着替えよ。」

「うん。」


朝だなー。

だるいけど。

動きたくないけど。

でも気持ちいい。すっきりとした朝。


「ふぉゎーあ。……。きょうにょ、あひゃごはんわ?」

「ねむそうだね。バイキングだよ。」

「えー、バイキングなんだ。」

「……。ちーちゃんが選んでくれたんでしょ?」

「ふゎぁゎー?何を?」

「ホテル。」

「あー。……。あ、ホテルか。おはよ。」

「……。おはよ。話聞いてた?寝ぼけてた?」

「全部聞こえてたけど、会話になってなかったね。何時まで?」

「あと30分だよ。」

「ん-。食べたい?」

「お腹空いたもん。早く行こ?」

「えー、だるい。行ってきていいよ?わたしもうちょっと寝t」

「いいから!着替えて!早くいくよ!」

「……。はーい。」


「ちーちゃん、もうちょっといろいろあるじゃん?」

「いろいろ持ってきてるじゃん。」

「せっかくのバイキングの意味ない感じだよ?」

「味噌汁が飲めれば十分なんだけど、仕方なく海苔も食べてるじゃん。」

「ご飯は?」

「そんなの入らないよ。」

「じゃあパンとか?」

「海苔に合わないよ?」

「せめてサラダとか、卵とか。」

「喉通らないよ?」

「……。なんで朝食バイキングにしたの?」

「え、だって。あやちこういうの好きじゃん?」

「……。だと思った。」

「さすがあやち、よくわかってるね。」

「……。クリスマスイブが終わったけど。」

「ん?」

「クリスマス本番は何かあるの?」

「ないよ?」

「え?」

「あんだけ考えたら限界。今日はあやちにパス。」

「えー。あやち昨日全部キャンセルしちゃったよ?」

「……。マジ?」

「今回はマジ。」

「…………。帰って寝る?」

「クリスマスだよ?」

「でも、それもまた一興。」

「やだ。」

「じゃあ。ん-。」

「あやち、ちーちゃんとなら何でも楽しいよ?」

「……。じゃあ、適当にぶらぶらしよっか。」

「どの辺を?」

「ここまでは決めたから。あとはあやちが決めていいよ。」

「あー!そうやって逃げるー!」

「逃げてるんじゃなくて、共同作業。」

「屁理屈ばっかり。」

「あやちのこと好きだから。」

「へっ!?」

「わたしも、どこに行っても楽しいよ?」

「…………。ずるい。」

「知ってたでしょ?」

「知ってた。」

「じゃあ、今日の予定は任せたよ?あやち。」

「はーい。」


ようやく、あやちと、初めてエッチした。

キスは違うのかって気もするけど、キスはなんだか違ってて。

昨日みたいにイカされて。

はじめてエッチできた気がする。

…………。

恥ずかしくて、顔見れないと思ったけど。

いつの間にか普段通りで。

ふとした時には、昨日のことなんて忘れてて。

でも。

わたしには昨日の爪痕が残ってて。

あそこがジンジンする。

けど。

痛くなくて。

嬉しいやつで。

わたしは一方的にあやちを感じることができて。

……。

なんだか不公平。

な気がする。

ん-。


「ねえ、あやち?」

「なに?」

「腕見せて?」

「え?いいけど。」

「今日も香水付けるよね?」

「うん、持ってきてるから。」

「そっか。チュウッ。」

「ちょっと!ちーちゃん!?」

「チュー。…………。パッ!よし。」

「『よし』じゃないんだけど?」

「これで、香水付けるときにキスマークが気になるよね?」

「そうだけど。」

「じゃあ香水の香りに気づいたら街中でもキスマークがよみがえるよね?」

「ん-。たぶん?」

「よし。」

「勝手に嬉しそうにしないでよ。」

「あやちはわたしの物だからね?」

「え、ちーちゃんって、そういう束縛系なの?」

「束縛じゃなくて、不公平だったから。」

「あやちが?」

「わたしだけ、昨日のが体に残ってるから。」

「あー。ツラい?」

「そんなことないよ。だから、単純にあやちにも爪痕を。」

「もうちょっと、場所考えてくれてもさ。」

「だから、場所考えて、袖で隠れる場所にしたんじゃん。あやちは冬でも腕まくるの?」

「ちーちゃんじゃないんだから。」

「わたしだってクリスマスに腕まくらないよ?寒いじゃん。」

「……。なんかちーちゃんと問答してると、頭痛くなってくるね。」

「ふふーん。大好き。」

「タイミングとかね。あやちも大好きだよ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る