2014年12月4週①

「はい、はい。はい。……。はい。……申し訳ありません。はい。はい。……。失礼します。」

「どうだった?」

「今日飛び入りで予約が入れば、キャンセル料は2割で良いって。」

「よかったー!」

「ホントだね。なんかごめんね。」

「ううん!あやちに確認とらなかったわたしが悪いんだけど。……。でもよかったの?」

「うん!いいの!」

「え、だって、結構前から予約してたやつでしょ?」

「でも、別に予約とれないわけでもないから。来年また予約すればいいよ!」

「うん。ありがと。」

「にしても、ちーちゃんが予約してくれるなんて。」

「だってー。あんなことがあったからー。わたしが予約しなきゃって思うじゃん!」

「あんなことって……。」

「いいの!それより行くよ!時間ないから! 」

「はーい。」




「クリスマスっぽくないね?」

「……。そうだね。」

「…………。」

「…………。」

「美味しいよ?」

「……。ありがと。」

「なんで、悲しそうなの?」

「だってー。」

「湯葉美味しいじゃん!」

「そうだけどー。」

「……。予約するの楽しかった?」

「ぜんぜん。怖かった。」

「なんで!」

「……。あやちが何なら喜んでくれるのか考えてたら決めれなくて。」

「で、時間たっちゃって。予約も埋まっちゃって。空いてた和食のお店にしたってこと?」

「うん。」

「だとしたら、ちーちゃんラッキーガールじゃん。」

「え?」

「だって、こんな美味しくて。おまけに個室なんて。しかもこの価格。クリスマスでこれなら破格も破格だよ?」

「そ、そうかな。」

「そうだって!というかそもそも、あやちが美味しいと思ってれば正解なんじゃん?」

「それは、そうだけど。」

「じゃあ、大成功してるじゃん!」

「そうかもだけどー。」

「……。あーもー!なんでそんなにうだうだしてるのー!ちーちゃんらしくないよ!」

「だって、まだ、夜の予約もあるもん。」

「……。ちーちゃんって、こんなビビりだったっけ?」

「……。」

「なんでそんなにかわいいの?」

「へ?」

「ギャップだよね。凛々しい系のちーちゃんがこんなに女々しいなんて。あやちの特権だね。」

「……。」

「決めた!次のクリスマスも、ちーちゃんがお店予約して!」

「えっ、あやちは!?」

「普段のお出かけはあやちがやってあげるから。年に一回くらいあやちのために頑張って。」

「ん-。」


やっぱ、予約って難しい。

あやち本当に喜んでくれてるのかな……。

……。

あやちのしてた予約全部キャンセルさせちゃった。

……。

楽しみにしてたよねー。

あーあ。

予約なんてしない方が良かったかな……。

あやちだって行きたいお店あったよね?


「夜まではどこに行くの?」

「えーっと。」

「……。」

「…………。」

「え、ちーちゃん?」

「…………。」

「え、もしかして。決めてたのって、ご飯だけ?」

「ご飯だけじゃないけど……。」

「じゃあ、この後は?」

「……。この後は決めてない。」

「え、じゃあいつの予定が決まってるの?」

「…………。夕食後……。」

「…………。」

「………………。」

「ちーちゃんって、てんねn「わー!」……。天然だよね。」

「……。天然じゃないもん。」

「……。…………。よかったー、キャンセルしなくて!」

「えっ!」

「ちーちゃん張り切ってそうだったから。どっかでから回ってると思って。」

「それは……。ありがと?」

「なんで疑問形なの?」

「複雑な気分だから?」

「もー。素直に感謝してよ!」

「ありがと。」

「よしっ。じゃあ急いで!時間ギリギリだから!」

「いや、ちょっと待って!」




「ねえあやち?きわどすぎない?」

「えー。そんなもんでしょ?」

「いやいやいや。きわどいって!」

「だめー。胸元ちゃんと出して!」

「はーい。」

「あ、メイクさん!この子、エロっぽくしてあげてください!」

「え、ちょっと、あやち?」

「あ、あと、アクセサリーはこっちで用意してるのがあるので、大丈夫です!」

「あ、あやち?」

「ちーちゃん、メイクさんの言うこときいててね!あやちは自分の分準備してくるから!」

「え、うん。……。いってらっしゃい。」


「お友達、元気な子ね?」

「そ、そうですね。台風みたいな子です。」

「大変そうね。振り回されてるの?」

「そうで……。いえ、楽しいです。台風みたいで。」

「あら。へぇ。……。エロっぽくだったわよね?」

「あ、それは、あのー。……。あんまりそっち寄りにならないように……。」

「おばちゃんに任せて!とびっきりエロくしてあげるから!」

「 いえ、あの、そうじゃなくて。」

「……。お友達。とっても楽しそうね。ここの予約、相当前からしてたみたいだから。」

「あ、そうなんですね。」

「だから、あなたはあの子を喜ばせてあげなきゃね。」

「あー、はい。」

「……。いいお友達ね。」

「それは。そうですね。親友なので。」

「親友なの?」

「親友です。」

「…………。親友なだけ?」

「…………。なにか?」

「人のことに首を突っ込み過ぎちゃいけないとは思うのよ?でも、おばちゃんも恋バナは大好きなのよ?女だから。」

「へ?」

「どっちから告白するの?」

「えっ!?」

「今日するんでしょ?そういう相手なんでしょ?」

「いえっ、あのっ。」

「いいの。恥ずかしがらなくても。このお店ってたまにそういう女の子が来るから。」

「は、はあ。」

「クリスマスの告白は、一時の盛り上がりで付き合っちゃうってなりがちだけど、別れやすいから。 気をつけなさい。」

「……。」

「はい。最高にエロイ女ができたわよ。リップはどれにする?」

「…………。えーっと。……。聴色ってありますか?」

「ゆるし色?どんな色?」

「あ、えーっと。桜の色よりも少しだけパステル系の感じの……。」

「ん-。じゃあ、この辺かしらね。」

「あー、じゃあこっちの、お願いします。」


『ドレスアップ女子会』なんて、調べても出てこなかったんだけど。

あやち、どうやって調べたの……?

たしかに、着てみたい気持ちはあるけど。

……。結婚式とか。

でも、結婚式で着るようなドレスとはちょっと違うよね、これ。

…………。

あやちに押し付けられた、ワインレッドなタイトシルエット。

胸元が出過ぎてて、恥ずかしい。

谷間もちょっと見えてるんだけど。

しかも、背中がざっくり開いてるし。

しかも、膝見えてるし。

……。これ、座ると見えちゃうんだけど。

メイクで寄せなくても、見た目が既にエロいんだけど……。

……。

恥ずかしくない?

滅茶滅茶恥ずかしくない?

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