2014年7月1週①

「あやち、おめでとー!」

「ありがとー!ふー!」

「よーし、まずは写真撮るよ!」

「うわ、なんか当てつけみたいに言うね、ちーちゃん。」

「んー?なんのことかなー?わたしは単に思い出を残そうとしてるだけだよー。はい、チーズ!」


あやち22歳の誕生日。

そういえば去年の誕生日は、なんだかいろいろすごかったな。

今思えば、あのときのあやちはアピールだったのかもなー。

悪いことしてたなー、わたしも。


「よし、あやち。プレゼント出すからちょっと目瞑ってて。」

「え、なになに?サプライズで何かあるの?」

「いいから。」

「え、ちょっと怖い……。」

「フフフーン。フフフフー。」

「え、なんでちーちゃん暴れん坊将軍歌ってるの?」

「え、無意識だから分かんないけど。」

「無意識にそれ歌うことある?」

「今まさにそうだったじゃん。」

「あー、うーん、そっかー。」

「……。よし、いいよ。目開けて。」

「うん……。え!?へ!?なに、してるの?」

「プレゼントはわ・た・し。」

「ええぇっ!?ちょっ!あ、え、だ、だって、あ。」

「じょーだんっ!」

「え……。じょう、だん。あ、だよねー。そうだよねー。あれ、じゃあなんでリボンなんて。」

「プレゼントは、わたしの手と、指と、舌。」

「え?……。え?何が?」

「だから、手とゆb「それは分かったけど。」……。じゃあ何?」

「え、それって、ちょっと猟奇的なやつ?いまどき流行らないよ?」

「そんな、指切り落とすなんてするわけないじゃん!怖いよ!」

「だ、だよねー。……。え、じゃあ、何?」

「えーっと。あやちはさ、わたしとしたいの?」

「え、したいって。え、それは……。」

「もちろんエッチなことね?」

「したいもなにも。だって、あやちはちーちゃんのことが好きで。でもエッチをしたいかで言うと。」

「したいんでしょ?」

「……。したい、かも……。だって大好きなちーちゃんと、そんなことするのいつも考えてて!でもちーちゃんは「じゃあさ。」……。え?」

「じゃあさ、わたしが『そういうことしてもいいよ』って言ったら?」

「え、そんなわけ。……、あ、また冗談でしょ?もー、ちーちゃんはいつもあやちをいじめて「してもいいよ?」……。」

「してもいいよ。というか。してあげたい。だから、わたしの手と指と舌をあげる。」

「…………。」

「ホント。マジ。てか、受け取ってもらわないと困るというか。」

「え、なにそれ。」

「わたしなりに勉強してきたからさ。今日のために。だからさ、受け取ってよ。」

「え。ちょっと。え、だって。ちーちゃんはあやちを……。」

「今はいいから。さ、じゃあ始めるよ!」

「え、うん。」

「あ!服は着たままで!わたしが脱がせてあげるから!」

「え、なんかちょっと、ちーちゃんエッチ。」

「今からあやちもエッチになるんだけどね?」


滅茶苦茶緊張してきた。

いざやるとなると緊張する。

だって、あやちを…………。

ダメだ。

考えないようにしないと。

雑念が入る。


「じゃあさ、あやち。2つ約束してほしいんだけどいい?」

「え、約束って、何?怖いんだけど…………。」

「大丈夫。怖くないからさ。嫌なら嫌でも大丈夫だし。でも、あやちにより気持ちよくなってもらいたいし、OKしてくれると嬉しい。」

「ん-、聞いてからね。」

「うん!えーっと、まず1つ目が、嘘をつかないこと。」

「え、別にあやち嘘なんかつかないよ。大丈夫。1つ目はいいよ。」

「ありがと。でね、2つ目は声を我慢しないこと。」

「声を我慢って……。」

「たぶんね、そのうち声が漏れちゃって来るの。だから、その声を我慢せずに出しちゃってってこと。」

「え、それはちょっと恥ずかしい。」!

「ん-。じゃあまあいっか。約束しなくても。でも、そのうち声出ちゃうから!」

「う、うん。……。それだけ?」

「それだけ!」




あやちをベッドに横にして、またがるように覆いかぶさる。

『恥ずかしいんですけど』ってマリさんに言ったら、『初心者ならこれが一番やり易いと思うから我慢しなさい。それに相手の顔見ながらじゃないと無理だと思うわよ。』って言われてしまったのでおとなしく従う。

下から『ひゃわー』とか『うゎぁー』とか聞こえてくる。

そんな声出されるとこっちまで恥ずかしくなる。

せっかく構えてた心が崩されていく。


顔を近づけていく。

キスできるくらいの距離。

口を突き出したら触れ合うくらいの距離。

頑張ったら唇が触れちゃう距離。

でも触れさせない。

意識だけ。

『こんなキスできちゃう距離に唇があるよ。』って意識だけ植え付ける。

あやちの意識も視線も今はわたしの唇にしか向いてない。

あやちが自分の唇を舐める。

緊張してると唇を舐めることがあるらしいから、そういうことかも。

リップでキラキラしてた唇はあやちの涎で艶を増した。

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