2014年6月3週③

しばらくキスが続いたかと思ったら、背中に衝撃が。

あ、ブラのホック外されたんだ……。

服は着たまま。

すごく自然に。

目が合う。

マリさんの腕がシャツの中に忍び込んでくる。

右腕がストラップから外される。

でも、右腕は袖へと戻される。

左の袖から、マリさんの腕が侵入してくる。

服の中で目的の物を見つけると、デザインを確かめるように撫でられる。

『可愛いのしてるじゃない』なんて言いながら、視線で合図された気がする。

『外すわよ?』

目を閉じる。承諾の意味を込めて閉じる。

意図が伝わったのか、軽く口づけされると、左の袖からマリさんの腕が出てくる。

わたしのブラも一緒に出てくる。

服を着てるのに、下着がないだけで急に不安になる。

思わず胸を隠す。見えてるわけでもないのに。

けどすぐに、マリさんに腕をどかされる。

どかされた左の手にマリさんの手が合わせられる。

手を握る。

握り返される。

わたしもぎゅっと握り返す。


キスが再開される。

深くわたしに入り込んでくるキス。

わたしのすべてを吸い込んでしまうようなキス。

シャツの上からおっぱいを触られる。

外から掬うように。

口が解放される。

呼吸が荒いけど、楽になる。

頬にキスされる。

そのまま首に向かってゆっくりキスが降りていく。

首をぐるっと、ちゅっちゅっと吸われる。

甘い浅いキス。

マーキングするように首元を全部キスされる。


わたしの体からマリさんの口が離れる。

おっぱいを触る手の動きに意識が向く。

優しい手触り。

なのに?だから?むずむずする。

乳首に向かって指が動いてる。

おっぱい全体を指先で覆って、ゆっくり頂点に向かって指が集合してくる。


「んふー。…………。んっ。んっ、ふ。ぬあぁ。」

「………………。」

「んんん。んんっ。あぁっ。……、すぅー、んへぁ。」

「…………。……。」

「ん。んんんー! んんんー!…………。ん-っ。んふっ。…………。ふー。」

「…………。我慢しちゃダメって言ってるでしょ?もっと声出して?」

「だって、恥ずかしい……。」

「今更何言ってるの。もうちはるちゃんの恥ずかしいことは全部見てるんだから。もっと出しちゃいなさい。その方が気持ちいいわよ?」


実際信じられないくらい恥ずかしい。

『わたしこんな声出すんだ』って気づかされるのが一番恥ずかしい。

我慢しようと思ってるんじゃなくて、気づいたら食いしばってる。

流されないように抗ってる。気がする。もう無意識。


わたしの上を蠢く指に神経を集中する。

次にどこに動くのか考える。

構える。


また、指がおっぱいの頂点に向かって集合してくる。

でもどうせ触らない。

もう何度やられたかわかんない。

でも何度やられても絶対に触ってこない。

今回こそは。

そう思って何度も裏切られてる。

だから今回も触らない。

次も、その次も。

ほら、どんどん指が集合してくる。

でも触らない。

知ってる。

どうせ触らない。

知ってる。


…………。

ほら、触らなかった。

予想できれば、怖いものはない。

構えておけば変な声が出ることもない。

また、くる。

指が準備してる。

気づけば目を閉じてた。

暗い。

マリさんを見てないから予想できないんだ。

見てればもっと分かる。

もっと構えれる。


目を開ける。

やっぱりマリさんがわたしの上にいる。

目が合う。

ふっと、避けてしまった。恥ずかしいから。


視線を下にやる。

マリさんの指がいるところ。

おっぱいのまわり。

今まさに指が頂点に集合してる。

知ってる。

また途中でやめる。

そんなこと知ってる。

いつまで続くの?

我慢比べ。

わたしはもう覚悟はできてる。

何度でも来い。


もう触れそう。

今までで一番指が集合してるかも。

でもどうせ触らない。

わたしの乳首には触らない。

知ってる。

だから、油断する。

だって触らないんだから。

次の衝撃に備える。

だって、わたしの乳首は焦らされてるんだから。


ほら、もう、触れちゃうよ?

そんなぎりぎりなところ触ったら触れちゃうよ?

マリさん早く手をどけなきゃ。

どけてよ。

どけるんでしょ!?

やばい。

ダメ。

今触ったら、ほんとに、ダメ。

マリさんに言わなきゃ。


触っちゃうよ!

触っちゃダメだって。

避けてって。

目が合う。

顔が近い。

声が出ない。

目線で訴える。


気づいた?

気づいてくれた?

分かんない。


顔が近づく。

唇が触れ合う。

舌が入ってくる。

もう何にも考えられない。


マリさんの舌に口の中が侵される。


何度も何度も侵されてるわたしの口を、また犯してる。


「んん-ーーーー!!!!!!! んん-ーーーー!!!!!!!」

「…………。ちゅぷ。んふぅっ。…………。どうだった、ちはるちゃん。気持ちよかった?」

「…………。」

「頭真っ白になっちゃった?」

「……。うん。」

「電気が走ったみたいだった?」

「うん。」

「そっか。よかった。今日は疲れちゃったわよね?そろそろ終わりにしましょうか。」

「うん。」

「ほら、お風呂に行くわよ。立てる?」

「ちょっと待って、ください。」

「じゃあ、もう少しこのままでいましょうか。」




「はい、ちはるちゃんも。」

「え、自分のありますんで。」

「いいの、私の吸いなさい。」

「え。じゃあ、いただきます。」

「あ、ちょっと待った!」

「え、なんです?」

「なんで自分で火つけるのよ!私がつけてあげるからちょっと待って!」

「あ、はい。」

「…………。ふぁい、くわうぇてぃこっちういて。」

「え?」

「んむー。『タバコ咥えてこっち向いて』って。」

「ああ、はい。」

「ん。ぎゃあ、ひあげうわね。」

「ふぁい。…………。…………。…………。ふぅー。」

「ふー。よくできました。ちはるちゃんのお相手はタバコ吸うの?」

「いえ、吸わないです。」

「じゃあ、ちはるちゃんのファーストシガーキスももらっちゃったんだ。」

「え、何ですか?」

「シガーキス。タバコの火を、タバコからもらうの。タバコがキスしてるみたいじゃない?だからシガーキス。」

「へぇー。」

「なによー、ちょっと、もー。いい感じだったのに。ちゃんと察してよね。」

「ごめんなさい。でもよくわたしがタバコ吸ってるってわかりましたね。」

「だって、最初にちょっと煙草の匂いしたし。相手が男なら分かんないけど、相手が女の子なんでしょ?なら、こういうお店に来る側が吸ってること多いわよね。」

「なるほど。」

「まあ決定打は、キスした時にタバコの匂いがしたことよ。」

「え、ニオイ残ってました?」

「残るわよー。相手の子とエッチするときは1週間くらい前からタバコやめときなさい。最後のキスがタバコのフレイバーになっちゃうわよ。」

「あ、はい、気を付けます。」

「あ、宇多田ヒカル分かんないのね。」

「えー、宇多田ヒカルですかー。ちょっとごめんなさい。なんかネタがあるんですか?」

「いいわ。世代ギャップよ。気にしないで。」

「ごめんなさい。」

「謝られると余計に傷つくわね。……、それよりもさっきの写真よ。見なさい。」

「へ?あー。…………。えっ、うわ。……。何この顔。ほんとにわたし?」

「どこからどう見てもちはるちゃんよ。いい?人は気持ちよくなって、性欲に溺れるとこんな顔になるの。お相手の女の子とエッチするときは、この顔にさせるのよ?」

「えええ、できるかな……。」

「それをできるようにするためにもう一度やるんでしょ!しかも今日は途中で終わっちゃったし。」

「え、これまだ途中なんですか?」

「当たり前じゃない。まだ乳首までしか触ってないのよ?下触ってないでしょ!」

「いや、そうなんですけど……。これ以上ですか……。」

「怖気ついてもだめよ。 絶対に次もやるからね!来週の日曜日の同じ時間に予約するわね?」

「え……、えーっと、じゃあ、はい?」

「決まり!じゃあ私からお店に言っておくから!その時間に他の客入れないから!絶対予約しなさいよ!」

「はい。……って、写真消してください!」

「あら、覚えてたわね。よしよし、消してあげるわ。……。ほらこの通り。」

「もし言わなかったらどうしてたんですか?」

「ちはるちゃん可愛かったから、思い出にしとこうと思って。」

「もー!」



来週かー。

バイト代消えるなー。

ん-、いっか…………?

いっか!

あやちのためだしね。


…………。

今更だけど、こういうお店に行ったことあやちに、言えなくない。

あれ。

どうやって取り繕うの?

あー。

後悔先に立たずだ。

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