88歳のおばあちゃんを大金持ちのイケメン御曹司に人助けしているところを見られた非モテ陰キャ→結果...【スカッとする話】

雲川はるさめ

第1話





88歳のおばあちゃんを大金持ちのイケメン御曹司に人助けしているところを見られた非モテ陰キャ→結果...【スカッとする話】



「俺と付き合え芋女」



めっちゃ上からだった。

コレが、大金持ちのお坊ちゃんの告白の仕方なのかと唖然とした。


「え」


と、同時に、

これ多分、何かの罰ゲームだなと思った。


現在高校二年生の私。

名前は山野ユナ。訳あってノーメイクで

いるのだが。化粧品が買えるような身分では

ないわけで。裕福でない典型的母子家庭で

貧乏臭が漂う眼鏡っ娘の冴えない外見で。

重ため前髪を伸ばしていた。

そのため、

「前、見えてますかー?地味な外見ですねぇw」

と周りの女子から言われる日々。

特にそんなセリフを私に言って来たのが。

同じクラスにいる女子で。

学年1の美少女で陽キャキャラ代表の

林ユーコさんだった。

社長令嬢で貧乏を知らない。

習い事も沢山させてもらっていて、

塾通いに家庭教師までいるとかで。

その甲斐あってか、成績は学年二位だった。


学年ビリの私とは大違い。


林さんは。

自分より弱い感じの子に対し、マウントを

取って痛ぶるのが大好きみたいだった。


「バカってやーねー!!また追試

受けるんだw」


他人の答案用紙を覗き込み、

追試の文字が赤字で書かれているのを

見て平気で嘲笑う女子だった。


外見や頭の悪さを色々と言われて学校生活を憂鬱に過ごしてたある日のこと。冒頭の

大事件が起こった。


同じ高校にいるオラオラな俺様系イケメン男子がお昼休みいきなし、

教室に入って来たと思ったら。

滅茶苦茶上から告白された。

今、私の目の前にいる、えらそーなイケメンの

名前は西園寺くん。


学年1のモテ男、それから更に。

さっきも描いたけど

家が超のつく大金持ちだってこと。


本日、私は西園寺くんと初めて会話する。


その彼との初の会話が告られ、なんてマジで

ビックリだし。



でもコレ、多分何かの罰ゲームよね?

だってあり得ないじゃん。

金持ちイケメンが貧乏陰キャに告白するなんてさ。

クラスにいた女子達が大騒ぎしてる。


でも、周りの女子達は、今目の前で起こっている告白現場の真相は分かってんのよ、的な顔し

てた。


林ユーコ子分「待って待ってぇ!」


林ユーコ「西園寺くん、ちょ、

今の告白、罰ゲームかなんかだよね??」


林ユーコ「ないよね、マジ告白とかさー」


林ユーコの子分のひとり「絶対ないよー」


西園寺くんは、彼に尋ねている林ユーコさん含む何人かの女子に対し、

あっけらかんとしてこう言ってみせてた。


「おう、マジ告白だと勘違いするなよな。これは全てゲームの範疇。だから、

絶対、噂にすんなよな」


林ユーコ「はい、分かりました!」

林ユーコの子分「やっぱ、そーだよね」

と素直に頷く女の子達。



イケメンで金持ちな西園寺くんの言う事は絶対で。


誰も彼に立てつかない。

成績もトップ。

この高校のカースト上位に君臨していた。

対してテストを受ければ追試の常連の

私が、彼を前にしてほんの少しでも

会話できたこと、何だか不思議な感じ。

それにしでもの、罰ゲーム告白。

やっぱしな、と思った。


西園寺「ところでこれ、期限付きなんだよな」


ユナ「え」


西園寺「だからな、罰ゲームで付き合わないといけない系なんだよ」


林ユーコ「ま、待ってよ!仮初でも西園寺くんと

付き合うとかムカつくんですけど!」


ここまできて、同じクラスにいる、

先程、「西園寺くん、ちょ、

今の告白、罰ゲームかなんかだよね??」

「ないよね、マジ告白とかさー」


と言って、「おう、」と西園寺くんに言われ、

「一度は身を引いた学年1の

美少女女子、林ユーコがぐいと身を乗り出し、

私と西園寺くんの間に入った。



「やめてよね、二人して手を繋ぐのとかはさ!」


「は?お前、俺の彼女でもないのに

そんな事言える権利ねーだろーが」



「そんな...!」


どうやら、林さん、

西園寺くんのことが好きみたいだった。


う、うわぁ...と泣き出した。


直接的に振られた訳ではないが、

さっきの俺の彼女でもないのに、

が心にきたようだった。


「酷いよぉ....」


西園寺くんはチラリと林さんを

一瞥したけど、彼女に何も言わず。


私にこう言った。


「今日の放課後、一緒に、帰れよ。

校門のところで待ってるからな!俺から

逃げたらタダじゃおかねー」


「あ、は、はい!」


やがて放課後になり、

校門の所に行くと。

林さんが待ち構えていた。

一緒に帰るとかも、許せないみたいだった。


「あんたは一人で帰りなさい」


「え」


林さんが私のシャツの襟元に手をかけようとした時だった。


強面の見知らぬスーツ姿の男性が

止めてくれた。


「坊ちゃんにとって大事な方です。

その女性に危害を加えようものなら

この私が許しませんよ。あなたは

離れてください」


「はぁ?」


林さんはその男性に肩を掴まれて

身動きが取れなくされていた。


「ちょ、何よ、離しなさいよ!」


やがて。

私のすぐ横に、黒塗りの高級車が停まった。


「おい、早く乗れよ」


大金持ちともなれば、

どーやら歩いて帰らないようだった。


林さんをその場に残し、

と言ってもピンで固定されたように

動けない状態なので、彼女はそこで、

悔しそうに地団駄を踏んでいるだけだった。


私は言われた通り、恐れ慄きながら

高級車に乗り込んだ。

そして、

高級車の中でこんなことを言われたんだ。

さっきまでのオラオラ系男子とは

打って変わって優しい口調で。


「助けてくれてどうも有難う」


「え、何のこと?」


「昨日、俺のおばあちゃん、助けてくれたみたいで」


「あ、もしかして!小柄で

白髪頭の美人なおばあちゃん??」


「うん、そーそー!」


続けて西園寺くんは言った。


「あんまり言いたくはないけどさ、

俺のおばあちゃん、たまに、足腰を鍛えるための散歩だとか言って外に行っちゃうだよね」


「でもさ、ちょっとボケ始めていてさ、

ごくたまーに迷子になって、

家に帰って来ない事あるんだわ」


詳しく回想すると。

昨日の夕暮れ時のことだった。


道に迷って困り顔して

キョロキョロしている

白髪頭のおばあちゃんの手を引いて

家探しのお手伝いをしていた。


「どうかしましたか?」


「あ、えーっと。

足腰のため、

散歩していたんだけどね、道に迷っちゃってねぇ、」

「家に帰れなくて困っているのよ...」

「足は疲れてきたし、もう、どうしようかな、

って」




おばあちゃんに苗字を尋ねたら、

「西園寺」、


それから更に


「花時計公園のそばの家よ」


と教えられたので

花時計公園近くまで、おばあちゃんをおんぶして歩いて行ったら、


「もう大丈夫!ウチはここよ。

あなた、

どうも有難うね!」


と言われ、ホッとして背中から

おばあちゃんを降ろしていた。



それにしても、おばあちゃんが指差した先には

超のつく大豪邸があり。

あまりの豪邸に私は

とても驚いていた。


立派な塀が立ち、庭も広過ぎて、

塀から玄関まで、ちょっとした

遠足じゃない?って

思うほどの距離があった。


ま、まさか、その家、

西園寺くんの家だったなんて。

て、てか、西園寺くんの

おばあちゃんを知らぬ間に助けていたなんて。


「それでさー、家の防犯カメラに映った女の子を

解析してもらった結果、重ため前髪で

眼鏡をかけた山野さんだったよ。

おばあちゃんを無事、送り届けてくれて

どうも有難う」


もう一度御礼を言われ


「あ、いえいえ、どーいたしまして」

と言っておいた。


すると。こんな質問をされたんだ。



「お前、今、彼氏とかいんのか?」


「あー、私に彼氏なんていないよ、

てか、いるわけないってゆーか。あはは」



「じゃあさ、俺と付き合え」


どーしたことか、車内で、

オラオラ系に戻ってた。


「あー、それ、昼間の罰ゲーム告白の

続きだよね?」


「バカだな、お前。

俺に罰ゲームで告白やれ、なんて命令する

奴がいるわけねーだろ」

「てか、そんな奴がいたら、ぶっ飛ばしちゃう的な」


「あ、それは確かに..」


カースト頂点に君臨する大金持ちな男の子に

そんな事言える男子はいないよね、、、


そうこうしているうちに、

大豪邸に着いたのだが。


おばあちゃんを前にして

西園寺くんは

優しい口調に戻ってた。


おばあちゃんの話に依ると。


「この子ったら、どーしようもないおばあちゃん子でねぇ。物凄い心配性なのよ。

だから、外出るなって煩くて。でも

家にばかりいたら足が弱くなっちゃうじゃない?だから、隠れて散歩に行くのよ」


西園寺くんのおばあちゃんは

私のこと、覚えてはいなかった。


それでも、私の事、温かく

迎え入れてくれ、だだっ広い部屋で紅茶を出してくれたのでした。



紅茶を三人で飲みながら。改めて、

罰ゲームは罰ゲームである訳がなく。

告白は本気だったと知らされた。


おばあちゃんは喜んでいた。


「孫が彼女を連れてきてくれるなんてねぇ...!」


「それもこんな可愛い子を」


西園寺くんに車内にて、

勝手に眼鏡を取られ、

更には「おでこを出せ!」

と脅され、仕方なくデコを出した私。


「何だよ、磨けば光るダイヤの原石じゃねーかよ」


「そ、そーかな?」


「そーだよ、自信持てよバカ」


バカ、って言葉が余計だと思いながら

そんな車内でのできごとを

思い出しつつ、紅茶を飲み干したのでした。



結局、このあと付き合うことになり。


更に数年後、私と西園寺くんが

どーなったのかは、

皆さんのご想像にお任せすることにします。


(ラストシーンで、花嫁姿のユナ。


タキシード姿の男は顔を見せず、

背後からのイラストにしてくださいませ)






















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