第29話 スライム退治

「くっ! スライムかっ!」


「へー、あれがスライムですかっ! 全然強そうに見えないですねっ!」


 メルティが呑気な事を言っていた。


 色とりどりのデフォルメされたモンスターが俺達の前に姿を現す。どことなく可愛らしい見た目をしたスライムはとても脅威には思えなかった。


「気を付けろっ! メルティ! 見た目程簡単な相手じゃないぞっ!」


 ボワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


 赤い色のスライムが突如炎を吐いてきた。


「う、うわっ!」


 ピキィン!


 青色のスライムは突如、氷結系の攻撃を仕掛けてくる。


「気を付けろっ! スライムは見た目の色に応じて、属性攻撃をしかけてくるんだ!」


 俺は注意を促す。


「な、なるほど! 気を付けます!」


「くっ!」


フレイアは剣を抜いた。だが、その剣は元々は一級品の名剣だったのだろうと思われるが、今では既にボロボロになってしまっている。相当に使い込んで来たのであろう。


 彼女の剣にかける負担は半端ではない。剣から悲鳴が聞こえてきている。あの剣ではとてもまともに斬れそうにもないだろう。


「フレイヤ、貸してみろ」


「よ、よろしいのですか?」


「そんな剣じゃまともに斬れないだろ?」


「で、ではお言葉に甘えて」


 俺はフレイアから剣を受け取る。元々はアダマンタイト製の剣だ。ボロボロになっていて良く見ないとわからなかったが。


「直すだけならすぐに直せそうだ。すぐに直す」


「ありがとうございます!」


 俺は一瞬にして、フレイアの剣の修繕を施す。そして、フレイアに手渡す。


「急場だったから応急処置だけど、使うだけなら問題なく使えるはずだ」


「こ、こんな一瞬で……さ、流石はロキ様です」


「また落ち着いたらちゃんと直すから」


 こうしている間にもメルティが一人で奮闘していた。


「すらっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 青色のスライムがメルティに氷結攻撃を放ってくる。凍えるような吹雪を吐きつけてくる。


「くっ! 寒いじゃないですかっ! 燃えなさい! 獄炎!」


 メルティは倍返しとばかりに、紅蓮の炎をスライムに放った。


「すらっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 スライムはメルティの放った紅蓮の炎に飲み込まれ、果てた。


「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 俺が修繕した事により、フレイアの剣は本来の力を取り戻した。緑色のスライムは断末魔を上げ、果てる。


「食らえっ!」


 俺も負けじと『ミスリルブレード』でスライムを攻撃する。


「「「すらっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」」」


 スライム達の断末魔が至る所からあがった。


「ふう……何とかなったか」

 

 しばらくして、スライムの群れはいなくなった。皆、倒せたようだ。


「ええ……何とかなりましたね」


 ほっと一息つける時間を取り戻せた。


「見てください! ロキ様!」

 

 メルティが声を大きくする。


「なにか落ちてますよ!」


 輝かしい結晶が何個か落ちていた。


「スライムが落としたアイテムだな……このアイテムを冒険者ギルドへ持っていけばクエストをクリアとして認定される事だろう」

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『スライムの結晶』×5

 スライムが落とした結晶。様々な日用品の材料になり、多少ではあるが換金性がある。

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「それじゃあ、目的も達成したし、帰るか」


「「はい!」」


「楽しかったです」


 メルティはそう言った。


「こらこら、ピクニックじゃないんだぞ……」


「それは確かにそうですが、楽しかったものは楽しかったんです」


「まあ……確かに」


 まるでクエストに来たというより、ピクニックに来たような感じではあった。


 こうして、スライム退治を終えた俺達は冒険者ギルドへと戻っていくのであった。






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