青いバラ

般若

第1話 革命

ランズマルク王国では民衆の不満が高まってきていた。長年にわたる貴族や王族の贅沢によって国庫は火の車となり、国民は重税にあえいでいた。そして、王国歴253年2月ついにその怒りが爆発したのである。当初、国王側は事態を甘く見ていたが革命軍の士気は高く国軍はあっという間に蹴散らされた。さらに革命軍を率いていたラームという男は戦争の天才であったのだ。こうして10日間にわたる革命の末、王朝は打倒され、国中の貴族は、発見され次第、逮捕、処刑された。王朝打倒を誓った花園の名前から、のちにバラの革命と呼ばれることになる大政変であった。王族は一般の貴族と違い、秘密の逃走手段を持っていたためにそのルートを使って逃走しようとしたがあまりうまくはいかなかった。国外に無事に逃走できたのは第二王女のクリスティーネと第三王子のディートリッヒのみであり、そのうちクリスティーネのほうは逃亡先の貴族の裏切りによって革命軍に発見されてしまった。

こうして直系の王族は第三王子のディートリッヒ・フォン・ランズマルクのみとなった。彼が生き延びられたのは乳母の優秀さと一歳という年齢のおかげであった。彼の乳母は国内の孤児院に捨て子として彼を預けることによって彼自身の生命を救ったのである。また、彼の首には当然ながら懸賞金がかけられたがなにぶんにも一歳という幼児であり、人前に出ることはなかったために追跡は困難であった。そのため彼の乳母を取り調べて場所を聞き出そうとして、懸賞金をかけて追跡したがその姿はしたいとして発見され追跡の手掛かりは途絶えたのである。

もちろんそんなことをディートリッヒは知る由もないのだが。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

青いバラ 般若 @white-bear-bu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ