とりあえずボケてみて!

山岡咲美

とりあえずボケてみて!

「とりあえずボケてみて!」


 セーラー服に付けられた腕章にはマジックで[ツッコミ]と書かかれている、彼女は本気だ。


「鬼か!!」


 黒板と教卓の前に教室机と椅子が置かれている、学ランの彼は『そんな雑なフリないだろ』と思った。


「私、お笑に瞬発力って大事だと思うの!」


「知らねーよ!」


 彼はボケよりツッコミ向きらしい、瞬発力がある。


「そう、それよ! その瞬発力! 大事にしなさい」


「誰目線で話してる!!」


「いいわ、ツッコミは完璧ね、五十点をあげるわ」


「何点満点でだよ!!」


「もちろん百点満点よ」


「ひきーよ! 半分だよ! 完璧には程遠いよ! もっとよこせ!!」


「何? もっとボケたいの~~?」


「ボケてねーよ! ツッコミっぱなしだよ! どっちかってーとアンタの方がボケだよ!」


「フフフ、よく気づいたわね、私、冴子さえこからたまにはボケとかやらないの? って言われるわ」


「はい、冴子あんたのお母さん、親子の会話おかしい! 一回家族みんなで話し合え!」


「ねえ…… にツッコミ忘れてない?」


「リズムだよ! 「はい、冴子あんたのお母さん、親子の会話おかしい! 一回家族みんなで話し合え! あとってなんだよアンタボケっぱなしだよ!!」じゃ長いだろ! ボケの方で調整しろ!!」



「……タイムマシーンが欲しい!」



「教卓の下に入るな! 穴があったら入りたい人か!!」


「あの……今何年何月何日の何時ですか?」


「タイムスリップしてねーよ!!!!!!」





********************





「ね、どうだった? 私のボケ?」


 セーラー服から[ツッコミ]の腕章を外し彼女、木瓜真来瞳ぼけまくるの反省会が始まる。


「は? 知らねーよ!」


 学ランの彼、月小見人生つきこみじんせいは木瓜真来瞳のテンションのかわりようについて行けてない。


「いやもうツッコミとかいいから反省会しよ、反省会」

 木瓜真来瞳は教卓の前の教室椅子に座り教室机の中から大学ノートのネタ帳を取り出すとスマホに録画していた今のネタをノートに写し始める。


「……反省会? ……そうだな、まず言いたいのは」

 月小見人生は最初に言うべき事があった。


「なになに?」

 木瓜真来瞳は率直な意見が聞きたい。



「この黒板と教卓と教室机と椅子どこで買ってきた!!!!」


「ネット通販」



 ここは彼女、木瓜真来瞳の自宅、戸建住宅の広いリビング、観客は木瓜真来瞳の母、木瓜冴子。


「人生くん疲れたでしょ、今日も夕食していってね♡」


 月小見人生のツッコミ人生はこの母娘おやこの為にあるらしい。



「ちなみにセーラー服と学ランは今通ってる高校の本物だよ♡」


「読者に話しかけるな!!」

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