あなたのくちびるに逢いたい

たから聖

第1話 出逢い。

【ぱしゃん……ッッ!!】



『あぁ。雨が止んだか……。』


僕は雨男だ。

常に傘を常備する程で……


クラスメートには……

雨男の和也と呼ばれる位だ。



昔から、そうだ。僕が遠足を

楽しみに……していると



必ずと言っていいくらい

雨が降る。友達にもからかわれた。



『お前~和也ってー雨男だよなぁ??遠足を欠席してくんね?』


数人に……囲まれて笑っていた。


『今度の卒業旅行は、

  お前~パスしてくんね?』




知らず知らずのうちに。



僕は……クラスメートからも

つまはじきに、なってしまった。




僕の名前は……有藤和也。



雨男の和也だ。

皆が僕の事を、からかう。




それは学校行事があれば

欠席してくんね?だの。



真夏日が続くと……雨降らして

くんね?だのと……


もはや利用されていた。




僕は……次第に、学校へ行かなく

なったのだ。



《バカバカしい!!僕は便利屋

じゃないんだ!》


バサッッ!!  傘を振りかざす。と……傘入れに、


傘をぶん投げた。


《二度と!!あんなやつらに

  かまうもんか!!》




僕は学校を欠席し続けていた。



【たまには。外の空気を

  吸いに行こうかな?】



コンビニへ、飲み物とホットスナックを、買いに出掛ける。



もちろん。傘も持参して……。



しばらく歩いていると……

僕は異変に勘づいた。



【あれ?雨が降らない。??】



コンビニに着くと、

僕は……華奢な体をした



まるで、精霊の様な、

また天使の様な女の子の姿を

見つけた。



思わず見とれてしまう。

《か……カワイイ……。》



その華奢な女の子は……



ふと、僕の方へと振り向く。


女の子は、余りにも僕が見つめて

いたので……



恥ずかしそうに、ニコッとして

くれた……。





僕は……彼女に心を奪われた。



天使の様な女の子に……



僕は一目ぼれと言うモノを

してしまっていた……。




その天使の様な女の子が

去って行くと……



スコールの様な雨が突然


前触れもなく、振ってきた。

僕は傘を持参していたので。



コンビニ内に居る、数名の客は


足早に帰っていった。


僕は走る!



天使の様な女の子めがけて

走った!



《あんな華奢な女の子が

  風邪でも引いたら大変だ!



それに。いつ逢えるか?分からない!

今を逃したら!……》



走って走って、


ようやく女の子に追いつくと……



僕は自分の傘を、ぶっきらぼう

に……差し出した。



女の子は、驚いていた……


僕は途端に口数が増えてしまって

いたので自分でも


訳分からずだった。


女の子は……ありがとうね。

と僕に礼を言うと、



【また、あそこのコンビニで

逢おうか?】


と……女の子が気を使って

くれた。




僕は……有頂天な気分を押さえきれなかった。



【君の名前は?】




ふふふ。と女の子が笑うと……


【田中樹里です。よろしく。】



じゃあね?と……女の子は

僕の傘を大事そうに扱っていると



【私……病気なんだ。風邪引く

と……大変なの。だから君に


お礼をしたいわ。何か好きな

モノとか、……ある?】


彼女は……傘をクルクルと

もてあそんでいると、



薄茶色のふわふわのヘアーに

グリーンがかった瞳がこちらを

向いて、


視線が離さない。



僕は……精一杯のひと言を言う。





《樹里さんに、逢えるだけで……

僕は……。その……。


また逢えるよな?樹里さん!


じゃあ!!》



いきなりの出逢い。

いきなりのトキメキを僕は


知ってしまった。




走ってその場を去る!


逃げる様に自宅へ帰ってくると……


僕の鼓動は、ドキンドキンと

激しく脈を打っていた。

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