第53話

「2人とも、何してんだよ」



廊下に出ていた透がそう声をかけてきて、ホッと胸をなで下ろす。



「なんでもない。じゃあ、また明日ね」



そう言って教室を出ようとすると、梓に手を掴まれて引き止められてしまった。



「友里はもうわかってるんでしょ? 1人で抱え込む必要はないって」



「梓……」



「それでも言えないことなら、もう首は突っ込まない。だけど、透と2人だけじゃ無理なことなら、あたしにも話を聞かせてほしい」



その言葉にあたしは透を見た。



透は軽くため息を吐いてあたしへ視線を向け、ほほ笑んだ。



「良い友達ができたよな」



そう言い、透はあたしの背中を軽く押したのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る