こいつら馬鹿だ

「律也ー。おーい。鳩が豆鉄砲食らった顔してるぞー」


 それって実際どんな顔だよ。


「もしかして聞こえなかった? じゃあもう一度。由里香に告———」

「いや聞こえた。バッチリな! 静止したわ!」

「せいしだけに?」

「うるせぇ海。誰が上手いこと言えって言った!」

「内容が分かったなら良し。早速、放課後にでも——」

「いや無理無理無理! 無理だから!」

「え? なぜ?」


 真矢はまるで分からないと言った顔をする。


「何故と言われても!?」

「真矢さんの言う通りだぞ。どうせお前由里香さんのこと好きなんだからこの際告っちゃえよ」

「ゑ???」


 え、なんで知られてるの??


「あらそうなの。じゃあ好都合」

「頑張れ律也。応援してぞ」

「いや、お前ら馬鹿なの?」


 お前らオナティッシュがバレた当日に好きですって言えるメンタルつよつよがいるかぁぁぁぁぁ!!


 さすがに表では叫べないので、心の中に留める。


「一歩間違えたら死だろ!!」

「大丈夫だって。絶対ハッピーエンドルート。だって——」

「海くん。それを言うのはやめましょう」

「そうだね」

 

 何2人見合っていい雰囲気作ってんだよッッ。


◆◇


 2時間目が終わり、次は体育の時間。


「由里香いくわよ」

「う、うん……」


 机にうつ伏せになっていた由里香だっだが、さすがに授業が始まると起き上がりいつも通りに振る舞う。


「ほらお前もいけよっ」

「今じゃねえだろ」


 肘で叩いてくる海を払う律也。

 ふと、由里香と目があった。


「ゆ、由里香?」

「っ……」


 と思えば、由里香は顔を赤くして避けるように逃げてしまった。


「……どんまい律也」


 告白の前に俺、嫌われた……?



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