スキルガチャSSR勇者の休日 〜魔王との戦いに疲れたので、仲間の女騎士たちと辺境の温泉街でのんびりします〜

白猫無限-GT

第1話

「おほぉ〜、眼福眼福!」


 「世界最強にして最凶のモンスター」と名高い黒龍――別名:龍帝ジエンド。

 ヤツとの死闘により、我々『ギルド:一番星』はかなりのダメージを負わされた。


 次の戦いに入る前に疲れと傷を癒し、しっかりと英気を養うべく、我々は「伝説の名湯」と名高い秘境の温泉街へとやってきた。


(……っていうのは全部口実だ。本当はコイツらのえっちぃ姿を見たいだけなのさ)


 俺――レオには3人の仲間がいる。


(おぉ〜! 見える、見えるぞぉ! スピカさんのナイスバディが! 鎧越しでも凄そうな予感がしてたけど、よもやここまでとは!)


 1人目は回復役の女騎士――スピカちゃん。

 包容力のあるお姉さんタイプで、温和で天然っぽい性格がいつも仲間を癒してくれる。


 そして、なんといっても彼女はおっぱいが大きい。戦闘中に揺れるおっぱいは、色んな意味で俺を元気にしてくれる。


 そのおっぱいをこうして直視できる日が来るとは……いや〜眼福眼福。


(むむ! あっちにいるのはシリウスだな! アイツもなかなかじゃないか)


 2人目はバフ兼特攻役のシリウス。

 彼女とは幼馴染で、ギルド結成のずっと前から付き合いがある。


 気が強くて男勝りな性格の彼女は、俺にとって「女の子」というより、「なんでも話せる親友」みたいな存在だ。


(それにしても……普段そういう異性として意識してない子がふと見せる「女の一面」ってのは、どうしてこんなに唆るんだろうな……)


 スピカさんほどではないが、シリウスもかなりスタイルがいい。なんかこう……全体的に引き締まった感じがすごくいいな。


「あの……さっきから何してるんですか?」


「ふぇっ?! や、やぁステラちゃん。どうしたんだい? ってかここ男湯だよ?!」

 

「関係ありません。私のが「覗き魔を殺せ」と言っているので」


「い、いやいや! ちょっと待って! 俺は別に覗いてたわけじゃ……!」


「問答無用」


「ひいぃぃぃ〜!!」


 3人目は彼女――【念力サイコパワー】というチート級の第六感を持つステラちゃん。


 冷静沈着な性格でギルドのブレーン役を担っている彼女は、スレンダーで美しい肢体がたまらない。


 そんなステラちゃんの膝蹴りが、容赦なく俺の股間にクリーンヒットした……



 ♦♦♦



「ほんっと最低! この変態覗き猿!」


「レオさん……そういうのはいけませんよ」


風呂上がり。

 俺の覗きはステラによってスピカとシリウスにもバレてしまった。


「ずびばぜんでじた(すみませんでした)……あとステラちゃん、踏むのは勘弁してくれませんか?」


「問答無用。変態覗き魔にはおしおきが必要です。むしろ、変態にとってはご褒美なんじゃないんですか?」


「さすがにそんな趣味ないよ! お願いだからヒールで踏むのはもうやめて!」


「仕方ありませんね……では、今日のお昼ご飯と晩御飯を全て奢ってくれるなら許してあげます。お二方もそれでいいですか?」


 彼女の提案に、スピカとシリウスは満面の笑みで頷いた。そして……


「じゃあお昼は最高級のうなぎがいい!」


「いいですね。晩御飯は最高級の焼肉とかはどうですか?」


『賛成〜!!』


 3人とも容赦なく高いものを要求してきた。

 俺の財布が、死んでゆく……トホホ。


 そして、その様子を見ていたおじいさんが「ドンマイ!」と言わんばかりにサムズアップしてくれた。



 ♦♦♦



「おい! もっと飯と酒を持ってこい!」


 うなぎを食べに食堂へ来ると、なにやら山賊みたいな輩たちが騒いでいた。


「うるさいですね。ちょっと黙らせてきてもいいですか?」


 それを見てキレた様子のステラちゃん。

 彼女は10人はいるであろう山賊たちに向けて殺気を放った。


「やめとけやめとけ、お腹が空いててイライラするのは分かるけど、あんなヤツらに構うことないよ。他のお店探そ?」


 俺はそんなステラちゃんをなだめ、踵を返そうとした。しかし……


「おい! 誰だァ? さっき俺様に向けてメンチ切ったヤツはァ? 出てこいやゴラァ!!」


 山賊の方から突っかかってきた。

 いかにもボスって感じの大男がこっちに向かってきた。


「私ですが、なにか?」


「お嬢ちゃん……いい度胸じゃねえか。それに、えらくべっぴんさんだなァ……とっ捕まえてヒィヒィ言わせてやりたいぜ」


「はぁ、これだから男は……」


 大きなため息と共に、ステラちゃんが飛び上がる。そして……


「死んでください。下衆野郎」


 超音速の回し蹴り――【超念動脚サイコカッター】を繰り出した。しかし、


「おっとと……なかなかいい蹴りだ。危うく食らっちまうところだったぜ」


「……ッ?!」


 大男は、ステラちゃんの蹴りを片手で軽々と受け止めていた。

 そして、すかさず彼女を逆さ吊りの体勢にし、動けないように拘束した。


「……くっ! 離せ……、下衆野郎……!」


「くっくっく……力が入らねぇだろ? これが俺の第六感――【暴食】の力だ。さて、このまま持って帰ってみんなでまわ……ッ!!」


 その瞬間、大男は瞬く間に地に伏した。


「悪いな、ここまでするつもりはなかったんだが……仲間に手を出されたんじゃ、黙ってはいられねぇよな?」


 俺は大男からステラちゃんを奪い返し、山賊たちを睨みつけた。


「まだ……やるか?」


 すると、山賊たちは小動物のごとく一目散に逃げ出した……



 ♦♦♦



「うぇぇぇええん! 怖かったです〜!!」


「お〜よしよし、もう泣くなって」


 先ほどの一件の後、俺はかれこれ一時間くらいステラちゃんをあやしていた。


「パッと見大したことなさそうでも、思わぬ反撃をしてくる相手もいるんだ。これからは気をつけるんだよ?」


「はい、ごめんなさい〜!!」


 普段は冷静なステラちゃんだが、危ない目に遭うと5歳児くらいに退化する。

 まぁ、それも可愛いから許すけどね。


「……若造、おぬし……いい腕じゃな」


 ステラちゃんをあやしていると、さっきサムズアップしてくれたおじいさんが話しかけてきた。


「そうですか? ありがとうございま……ッ?!」


 は、ふと目に飛び込んできた。


(『七帝の刻印』……!)


 黒龍を筆頭に、この世界には『七帝』と呼ばれる7体のモンスターがいる。

 それらを倒すと、『七帝の刻印』という証が体に刻まれる。


(このじいさん、刻印が七つも……! ってことは、『七帝』を全部倒したのか?!)


 俺はまだ『七帝』のうち、黒龍しか倒していない。

 だが目の前のじいさんは、「地帝:ファフニール」、「水帝:リヴァイアサン」、「空帝:エア」、「雷帝:エクレール」、「氷帝:ニブルヘイム」、そして「龍帝ジエンド」を全部倒している。


「お主は、いつか……ワシと同じ称号を手にする者になれるかもな……」


 そう言って、おじいさんは去って行った。


(面白い……! 世界にはまだ強いやつがいっぱいいる! 俺ももっともっと強くならねぇとな)

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