気狂いバンザイ

東 哲信

白痴裁判

 私は段ボールをかじってみることにした。評論はおいといて、小説が書けなくなったからである。むろんのこと、小説が書けないことと、段ボールを喫食することにつながりはない。が、人間という生き物はある程度悲観の淵に入りこむと、否応なく放心状態にせられるようで、私がその放心状態の中で認めた食品が、ただ、段ボールというだけのハナシであった。

 段ボールは、紙臭かった。新聞紙のにおいがした。そうして、少し苦い感じもしたが、これはマグネシウムかなんかの金属と似ている。私は、最近ミネレル不足だと自分を悲観していたので、苦い段ボールは好都合であった。いつぞや、どこかの通販でバスピンを買ったときの段ボール箱がひとはこきれいになくなってしまった。バスピンは、とっても効くお薬です。あたまがふわふわして、よく眠れます。でも、段ボールもよく聞くお薬です。おなか一杯になります。しあわせって、こんなに近くに転がっているのに、わたしはよろこべなかった。人間は、段ボール箱でも幸せになれるのに、たくさんお金を稼ごうとしてしまった。私は悪い人だから、段ボールを食べられて幸せです。

 そういう私は、腸閉そくで入院したようです。私は頭にきたので、持っていた標本道具で私の腸を開きました。たしかに、小腸で段ボールの塊があって、私はそれをつかみると、がりがりと砕いてしまいました。そのとき、たしかコッヘルを利用したと思います。メイヨーで腸管を割ろうかとも思いましたが、死んじゃうと真っ暗なのでやなので、私は生きれるように、ちを出さないようにおなかを切って、ごみを出しました。

 世界はゴミである。バカげている。今日、セールスがうちに来て、俺は扉についている鶯ボールぐらいのレンズから外をのぞいた。そうしたら、だれもいないから、不審がって開ける。当然だよな。バカでもわかるように説明してやると、説明なんてしてやるもんか。

 とやかく俺は、扉を開けてあたりを見回した。そうするとセールスの男が扉の陰からこんにちは、おれは汚い男が嫌いだから、扉を蹴り上げてやった。俺は強いぞ、強いんだぞ、ごみが、腹立つ。俺は許せない。人を舐めている奴は、ゆるさない。恵比寿さんアハ、プリンを盗み食いした近所の子供を、漫画の中で虐殺したそうな、なら僕も、そのセールスも虐殺したいと思いまう。人は、汚いので、虐殺すべきだと思います。あたしは、班出生主義者ですから、その男の生殖器を叩き割りました。殺すのはかわいそうなので、叩き割ってやりました。生きながら苦しんでほしいんです。死んだらすべて終わりですから。

 数日後お巡りさんがきました。私をつれていくみたなんです。でも、僕はなにもしていません。こわいです。とても怖いです。警察の馬鹿が僕の肩をつかんで、こわくて泣いても話してくれない。とっても怖いんです。視界が涙でぼやけてなにも見えないうちに、僕はパトカーの名k。なんども、てじょうをはずそうと苦労した。が、ついぞそれがはずれたのは精神鑑定という奴らしい。障碍者なんていわれをするつもりはなかったものだから、俺は激高したんだ。意味がないんだ。生きていても、まったく生きていてもいみがないんだ。だから、おれを死刑にしろと、初公判でもあばれてやぅた。だけど、それはかないませんの、なぜって、傷害罪は死刑にならないんですって、面白くありませんわ。なぜって、セールスったら色男、そいつの生殖器つぶしたからには、そいつが本来さずけるはずのガキも私がころしたようなものなのです;。ゆえに、ボぼくは死刑になるヴぇきだと思いますが。

 裁判長にかしら―右、裁判長殿、私は銃殺刑を書房致します。私の死体は、死体は、ミンチにしてください。かくなる上は皇居のお堀のピーちゃんのご飯にしてあげてください。裁判長。なんで無罪なんですか。この反日が、おれはお前を許さない。



 「まぁ、これくらい馬鹿になれば、さぞ人生は楽しく生きられるでしょうな。」

 陪審員の一人が彼をあざ笑ったのでした。

 

 

 

 



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気狂いバンザイ 東 哲信 @haradatoshiki

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