エルシィの感想その6

 魔法学園を中心として発展した都市・グラント。

 あのカリスも、ここで魔法を学んだのだろうか。

 雲ひとつない透き通った夜、ボクとエルシィは観覧車のようなものに乗っていた。

 何でもドワーフの学生が製作したもので、この街にはこうした学生の製作物が取り入れられていたりする。

 ライトなんて便利なものはさすがにないし、魔法で灯す理由もない。

 光源は夜空に鎮座する銀月だけ。

 それに照らされたエルシィの横顔は、昼間よりも淡く、不確かな存在に見えた。

 まあ。

 法的に問題ないとは言え、ヒト殺しの告白だ。

 こう言う密室でするに限るね。

「どう思った?」

 地上で煌めく夜景を眺めていたエルシィが、ボクに向き直る。

 他のヒトが同じことしてたら、ホントに聞いてたのか? と疑うところだけど。

「……殺してしまうだけの理由は、なかったと思いますね」

 やっぱ、誰に聞いてもそう思うよね。

 別に奴らが嫌いなだけなら、適当な理由をつけて脱退するだけでよかった。

 おちゃらけた口調で説明したけどさ、ボクも別に楽しんでたわけじゃないし。

 万一ミスれば、ボクもアッちゃんの餌食になって共倒れだったよ。

「ただ」

 彼女のアメジスト色をした双眸そうぼうだけが、闇の中で鮮やかに見えた。

「ここまでの話を聞く限りは、です。

 まだ、カリスさんのパーティや第6層について、話していないことがありますよね?」

 あらら。

 やっぱり、バレてたか。

 このコを出し抜いたり困らせたりするの、最近楽しみになってたりするんだよね。

 結構、難易度高いから、それなりに燃えるんだ。

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