第39話 にちじょう

「今日は僕たちの再会を祝おうじゃないか」と笑顔で話しかける指名手配犯。キララちゃんは馬乗りをしているがそこから何をしたらいいかがわかっていないっぽい。

 私が近くの探索者協会に連絡をしよう。鞄からスマホを取り出すと、指名手配犯が私の手を握っていた。

「連絡はしないでほしいな。野暮な横槍はみんなが望むものじゃないぜ」

 キララちゃんは脇に抱えられていて、抜け出せないのかもがいてる。キララちゃんは男性より力が出るし、どの探索者を比較しても力が抜きん出て強いのに……報告通りこの指名手配犯は能力の無効化ができるの?でも、キララちゃんの能力を無効化すると、キララちゃんは生きてるはずが…………

「おいおいおい、深刻な表情を浮かべないでほしいな。せっかくの可愛い顔が台無しだぜ」

 鬱陶しく私に話しかけてくる。キララちゃんと並んで座って、余裕そうな表情で私を観察してくる。キララちゃんは動けない状況に不服な表情をしてる。

「ま、僕が指名手配を受けてるだとか、そんなことは置いといて。ここは結構小洒落たカフェなんだ、優雅にティータイムといこうや」マスター、コーヒーを一杯。と、私たちのことを気にせずに注文を済ます指名手配犯。隣を気にしながら、残りのオレンジジュースを飲んでいるキララちゃん。私は何をすればいいの?






「黒宮、本部からの呼び出しだ」

 いきなり支部長からの呼び出しに応じると本部への呼び出し。僕が何かしたのだろうか。最近はトレーニング、まれにダンジョン探索と、いつもの僕の仕事をして、何も迷惑をかけていない。

 あと1週間ほどで隣県の大型ダンジョンに探索する予定なので、ここで僕がどっかいくのは駄目だ。それにしても今回の笹目さん達は諦めずによく継続してると思う、久しぶりに1ヶ月続ける人が出てきそうだ。能力に恵まれないながらも良く頑張ってるなと思う。

 話が逸れたが本部からの呼び出しとは何だろう。何も迷惑をかけてないぞ。

「最近メシアの活動が活発化して、かなりの頻度でダンジョンが発生しているらしい。そのことについての対策と、メシアの信者らしき者を追跡したところ、メシアの簡易拠点を発見したので襲撃を仕掛けることについての会議に出席しろのことだ」

「……後輩ちゃんに出席させるのは?」

「それでも良いが本部の連中はお前を襲撃や、探索に連れて行く雰囲気だったから顔合わせぐらいはしといたほうがいいぞ」

 時間に余裕があるかな……メシアの拠点は早めに潰したほうがいいからすぐに向かうことになるだろう。新しくできたダンジョンも中からモンスターが溢れ出してくる可能性があるから早めに探索をしたほうがいいが、時間的に余裕はまだあるし、最悪僕がいなくても探索はすることができる。

「明日行けばいいか?」

「そうだ。明日の朝早くに迎えばいい」

 机の上にたくさんの書類がある。トントンと何度も指で机を叩きながら画面と格闘をしている。仕事が大変そうだ。

 明日のことを笹目さんに伝えて、本部に行く。その日の夜に帰って来ればいいか。

「明日向かうって伝えてくれ」わかった。と、こちらを見ずに支部長が返答をした。

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