世界設定その9 武術系統『種族編』



この物語には数多くの種族が登場します。

バトルにおいて彼らが使用する動きにも特徴があるわけです。

文化的な理由に根差すものもあれば、種族における身体能力の差を反映した特徴もあります。



・種族による武術の特徴

1.人間族の武術

オーソドックスな武術です。身体能力的な特徴も平均的なものです。

種族による差異よりも、集団や文化圏における差異の方が目立っています。


ガルーナ武術はとにかく攻めることと多対多を想定していますが、バルモア連邦の場合はより小規模な戦闘に特化したものであり、ファリス帝国は競技化された道場武術が主体となって来ています。



2.エルフ族の武術

スピードで圧倒する、あるいは弓による遠距離攻撃、狩猟的な追跡術を好んで使用します。

精神集中と隠密が得意であり、奇襲的な戦いで強さを発揮します。


身軽な人物が多いため、戦斧などの重量がある武器よりも、弓、細い槍やミドルソードなどの武術が発展しました。


鎧を着込んでの集団戦闘では弱さを発揮するため、常に間合いを取り、身を潜めての攻撃を得意とします。


戦術的な傾向では『守備』を得意とする人物が多くいます。個人技で危機管理に挑むことを好み、戦闘では狩猟文化の影響を受け個人主義的な傾向もあります。


なお威力よりも精度やテクニックを評価する種族的な傾向があり、エルフ族の武術の腕前とは洗練された技巧を有しているか否かです。



3.ドワーフ族の武術

頑強な体躯を誇るドワーフ族は、衝突時の威力を誇る武器、戦槌などを好みます。重量とパワーとタフさで、屈強な動く肉の壁と化します。


筋力に依存した武術が多く、戦槌、戦斧以外にも長剣の二刀流なども使うことが多い種族です。


ドワーフ族の武術に多く見られるテクニックが『ドワーフ・スピン』になります。

身体能力の高さと、低い重心を利用した回転攻撃です。


竜巻のように鋭く回転しつつ、体重と遠心力を乗せた大型武器による強打を放ったり、回転することで移動を生み出し回避や突破に使ったり、あるいは素早い方向転換などを行うテクニックです。


体型と身体能力特性に合ったテクニックであるため、大陸中のドワーフ族がこのテクニックを武術に採り入れることが多くなっています。



4.ケットシー族の武術

ケットシーは小柄で身軽、あえて言うならばパワー不足で貧弱です。

エルフ以上に身軽な曲芸技巧、暗殺のテクニックを体現する人々になります。


器用であるため、およその動きが使えますがパワーに頼る戦い方は難しい。

ナイフを使った接近戦闘、奇襲攻撃などが進化しています。


『フェアリー・ムーブ』と呼ばれる無音の高速機動で、気取られないまま暗殺技を連続する強者もいるため、武術が弱いとも限りません。


小柄でパワー不足な種族ではあるため、それを克服するトリッキーな動き、あるいは奇襲や暗器の使用など、ケットシー族の武術全般が暗殺者的な方向性を帯びる傾向を持っています。


稀代の暗殺者の多くがケットシーであるのも、暗殺者的な素養を持つ者が多くいるという事実が背景にあるわけです。



5.巨人族の武術

圧倒的な体躯を活かすために、槍やポールアックスなどを用いることで更なるリーチの拡充を目指します。


槍術の研鑽を好み、完成度のある槍の使い手は難攻不落の強さです。


一対一でルールに縛られた戦い方をすれば、巨人族はあらゆる種族のなかでもトップクラスの強さとなるはずですが、戦場では巨体ゆえに隠れることが難しい、矢の的にされやすいという不利な点も出て来ます。


種族としての特徴で賢さがあるため、連携して『攻撃』を組み上げる戦術で強さを発揮する人物が多くいます。


また、巨体のサイズを使った武術として、手斧の二刀流というものを使う人物もいます。

取り回しの良い最低限の殺傷力を、巨大な体躯が使うことで、十分な威力とそれなりの身軽さを確保するというデザインの戦法です。


体格を活かすだけで、ほとんど最強の種族であるため、それほど特殊な武術は進歩することはありませんでした。オーソドックスな正当さとフィジカルがあれば十分な強さになります。



6.ディアロス族の武術

槍を用いる騎馬民族であるため、槍術全般および弓術の発達が見られます。

槍術の特徴としては突撃のテクニックに特化している点です。鋭い踏み込みと、重く速い一撃を叩き込むことで正面からの圧倒を好む勇敢な武術となります。


ユニコーンとの完璧な連携がある種族なため、騎兵としての戦闘能力は他の種族を圧倒します。ディアロス族同士の紛争においては、いかに迅速に相手を強打するかが決め手となり、攻撃を重んじる文化が醸成される下地になりました。


長く戦う戦術を好まなかったのは、極寒の土地でそれをすれば共倒れる可能性が高くなるため非合理的だと考えた結果でもあります。


種族としての特徴である『水晶の角』は、音響から相手の動きを察する能力もあるため、空間把握能力は多くの種族たちの中でも上位です。


精度ある強靭な一撃を放つことが可能なことも、突撃・攻撃性のある槍術の完成に寄与しています。


最大の攻撃手段は『ユニコーン』を槍に憑依させての攻撃です。城塞させも穿つ威力であるため、まともに当たれば人体は粉砕される威力があります。ですが、全てのディアロス族が霊槍というモードを使いこなせはしません。あくまで一部の達人のみが使えます。



7.サージャー族の武術

山岳民族であり農耕と素朴な営みをしてきたサージャー族の武術は、あまり攻撃性が高くはありません。


棒術を好み、高度な身体能力、空間把握能力を用いた、相手の手足の骨を折って無効化するための護身術的な武術を発展させています。


闘争する機会そのものが少ない歴史が、その武術的な特性を作り上げました。


ただし、貧弱なわけではありません。三つ目の力により、対戦相手の動きは完全に把握されてしまいます。


矢であろうが槍の突きであろうが、サージャー族の達人の棒術に防げないものは存在しません。


無数の矢を同時に防ぐ、魔術さえも読み切り躱してしまう。それがサージャー族の武術の本髄となります。


自然との対話、調和を好み、高度な観察能力により空間の全てを掌握、相手に動きも自分の動きも完璧な理解の上で戦闘を行える種族です。


サージャー族の達人が『防御』に徹したとき、それを攻略する方法は常軌を逸した力で挑むほかにありません。




8.フーレン族の武術

ハイランド王国に大勢が住むフーレン族、その武術はハイランド王国の武術寺院、須弥山・螺旋寺のものと同一視されます。


須弥山・螺旋寺の武術の特徴は双刀です。左右の腕が操る中型片刃の刀を自在に操ります。


武術としての完成度は大陸最高のものであり、攻撃にせよ防御にせよ完璧と呼んで差支えのないものです。


また、それを行使するフーレン族の身体能力そのものが高くもあります。


筋力、持久力、反射神経、身の軽さ、生命力……あらゆる要素でフーレン族は他の種族に勝る強さを有しています。


双刀によるテクニックに加え、自在に組み入れて来る体術も驚異的な威力です。武器での打ち合いの最中、カウンター的に致死性の威力がある前蹴りなどを叩き込んでくるのも特徴になります。


急加速と急停止、さらにその直後に急加速というフットワークに、左右の斬撃のラッシュを組み合わせられるのが『虎』と呼ばれる螺旋寺の上級戦士たちです。


体術と剣術が高度に融合し、身体能力も高い。白兵戦ではあらゆる種族よりも強い戦士が登場しそうな能力を有しています。



9.人魚族の武術

オリジナル武術は存在しませんが、水中に動物を引きずり込むことを得意とします。


クジラさえも水中で溺れさせて仕留めるのが、人魚の身体能力と狩りの力です。


水の重りから解放された彼女たちの地上での動きは、神速にして怪力。武術や体術を修得すれば、またたく間に最高の戦士になれるかもしれません。



10.『ホムンクルス/メルカ・コルン』の武術

星の魔女アルテマの知識を継承したことにより、千年前の武術全般を保全しています。


人間族の武術そのものですが、身体能力が高めであることと、自己犠牲をいとわない性質があるため、攻撃・防御どちらの種類の戦術においても献身的に働きます。


全員で一致した行動が可能であるため、それが軍事行動では最強の威力になります。


そのため『メルカ・コルン』個人競技的な質には乏しく、集団での連携を旨とした動きを行います。


古代の軍事教練的な動きということになりますが、それでいて個人の技巧を極め抜いたフーレン族の身体能力に近しい動きを行えるのが特筆すべき点です。


『究極に基礎を極めた武術』とも言える、極めてオーソドックスかつ質のいい武術を行っています。



11.灰色の血の武術

『ヴァルガロフ』の『ゴースト・アヴァンジャー』の武術になります。


その神髄はコミュニケーションを無視しての一方的な攻撃です。


武術は一種のコミュニケーションであり、それゆえに威嚇も読み合いも成立していますが、『ゴースト・アヴェンジャー』の目指すところは感情を表に全く出さないことで、相手に行動を察知させないところになります。


体現すれば常に先手が取れてしまうのです。熟練者であるほどに読み合いで敗北するようになり、非熟練者はそもそも問題ない対戦車です。


一対一あるいは一対多の状況において、確実に相手を暗殺するためのテクニックの完成を目指しています。



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