第2話 売店

 病室に戻ると雫はカーテンを引き、竜也をベッドに寝かせてから自分が竜也の上に跨り大胆にもキスを交わせて来た。


「お願いだから、私以外の子とは仲良くしないでね……」


「分かったよ」


「私は、竜也さんの為なら何でもするから……約束よ」


雫は竜也の顔の側に自分の顔を寄せて言う。


「梅木さんの言う通りにするよ」


竜也の言葉に雫は起き上がり


「ねえ、苗字で呼ばないで」


「え……と、じゃあ雫ちゃん……で良いかな?」


「雫って呼んで」


「はい、分かりました」


「あと、敬語も禁止ね」


「了解」


「よく出来ました」


 雫は竜也の頰にチュッとキスをする。2人は、もはや……どちらが歳上なのか解らない関係に至っていた。


*次の日……


 竜也は病院棟の横にある売店へと行き雑誌の立ち読みをしていた。特に欲しい物が無く店内をウロ付き周り、缶コーヒーを買う事にした。


 その時、近くに中学生位の女の子が居て、ジッと竜也を見つめている事には竜也は   気付かず……売店を出て直ぐ近くのベンチに座る。缶コーヒーを開けようとした時に女の子が現れて


 「あ……あの、落としましたよ」


 女の子は病室のボックスの鍵を拾って届けてくれた。


 「ああ……どうも、ありがとう」


 竜也は、女の子に礼を言って鍵を受け取る。その直後だった、彼は再び軽い頭痛の様な症状が現れる。ポワッとした感覚の直後だった。


 ふと女の子を見ると、彼女は立ち去って行くと思っていたが、そうでなく……恥ずかしそうに竜也の隣に腰を下ろした。


 「私は、篠崎薫(しのざき かおる)と言います……」


 「僕は村石竜也。宜しく」


 恥ずかしそうにしている薫を横目に竜也は軽くコーヒーを飲み始める。


 「村石さん、私……その、まだ男性との経験が無いのです」


 突然の言葉に思わず竜也はコーヒーを吹き出しそうになり、ゴホゴホとむせる。


 「何、突然変な事を言うの⁉︎」


 「え……だって、女の子は皆、中学生から高校生ぐらいに経験を済ませるのでは無いですか?」


 「誰が……そんな事を言ったの?」


 「私の友達で、もう……済ませた女子はいますが……」


 「そっちの方が、おかしいよ。大体……日本の法律で未成年者に手を出したら捕まえられるよ」


 「それは知っています。でも……内緒にしていれば大丈夫でしょ?」


 「もし仮に僕が君に手を出して、君が僕にワイセツされた…と言えば、僕は一生刑務所の中だよ」


 「そんな事は絶対にしません!貴方とは離れたく無いのです一緒に居たいの」


 夢中で薫は自分の本音を竜也に言った。


 「どうして、会ったばかりの僕と一緒に居たいの?」


 「解りません……ただ、貴方の側に居ると心が安らぐと言うか……気持ちが安心するのです。何て言うか……この人なら自分は何をされても構わない……ずっと側に居たい……そんな気持ちがするのです」


 それを聞いて、雫の行動や美穂の言った言葉を思い出した。彼女達と薫の発言は大体似ている、つまり……彼女達は自分との肉体関係を求めているのであった。


 特に雫の場合は自分がOKさえすれば何時でも始められる気持ちでいる。


 「君は本気で、僕に何されても良いの?」


 「はい、何されても構わないです」


 「じゃあ……今からキスしても良い?」


 「はい、どうぞ」


 そう言って竜也は美希の顔に自分の顔を近付ける。薫は瞳を閉じて竜也が唇を近付けて来るのを待つ。


 あと少しで互いの唇が重なる瞬間だった。


 「竜也さん!」


 声が聞こえて振り向くと目の前に美穂の姿があった。

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