まさか君が二刀流だったとは〜たけのこときのこの負けられない戦争。そして、現れた超越者〜

俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き

たけのこきのこ

「たけのこだろっ!!!」


俺は、ドンと机に手をついて叫んだ。


「えぇ、でもきのこも美味しいじゃん?」


きのこをつまみながら、目の前に座った俺の幼馴染である水琴みことが言う。


「まさかお前と戦争する日が来るとは思わなかった。ククク……このクラスの人数は23人。憎ききのこ派は11人。残念ながらたけのこ派も11人。たけのこ派が少なすぎるという意見はおいておいて、あとはお前一人だけなんだ。お前がどっちにつくかで、このクラスのヒエラルキーが変わるんだ!! なぁ、お前はどっちだ!! たけのこだよな!!!」


俺はみことの肩を掴んで揺らしながら、鬼の形相で尋ねる。


「ウァヴァヴァ、揺らさないでよぉ! 僕はどっちも好きだよ〜」


みことは俺の手をはがして、きのこをまた一つ口に入れながら言った。


「嘘だ、どっちも等しく好きだなんてそんなやつ人類に存在しない。たけのこ派はきのこを口にせず、きのこ派はたけのこを口にしない。これが世界の法則だろ?」


教科書にも書いてあるぞ。


「でも、ゆーくん、きのこ鍋好きじゃない?」


熱く語る俺に、みことが首を傾げて言う。


ゆーくんというのは俺のことだ。


たけのこきのこ戦争に熱くなるあまり、自己紹介を忘れていた。


俺は裕介ゆうふけ。だからみことにはゆーくんとかゆーちゃんとか呼ばれている。


他の奴らからは、ゆーすけとかUKゆーけーとか適当に。


「それとこれとは話が別!! 今してるのはあくまでおかしの話であって、それを現実に落とし込んではいけないんだよ!!」


俺はなぜわからないのかと、みことに熱弁を続ける。


「おかしだって現実では? ふぅ、ごちそーさまー」


が、みことはやはり首を傾げて、最後のきのこを口に放り込み、昼ごはんを終えてしまった。


「お前、俺の話を聞けよ。まずな、きのこというのは……」


俺は今日という今日こそは、みことをこちら側たけのこの里に引き込もうとするが、


「みーちゃん、たけのこいる?」


「ほしいっ!!」


「お腹いっぱいでさ。はい、あーん」


「あーん! うん、おいひぃ!!」


「ほらほら、食べながら喋らないの」


わはっあぁわかった!」


「ほら、言ったそばから」


彼女はそのマイペースぶりを遺憾なく発揮して、一瞬で隣のグループの女子とほのぼのとした空気感を作り出してしまった。


「お前マジでマイペースだな。というか、さっきききのこ食ってたよな?」


「うん」


俺の問いに、みことは小学生も驚きの純粋さで首を縦に振る。


「で、今たけのこ食ってるよな?」


「うん、そーだねー」


おいしいよーと微笑みながら、みことが頷く。


「おま……さては、あの絶滅危惧種と言われた、超越者かっ!!? 大谷と同じ二刀流なのか!!?」


野球では実現できても、この戦争では一生ありえないと言われている、あの二刀流を成功させたというのか……!!?


「うん。だからいってんじゃん、僕どっちも好きだよーって」


みことは、なんでもないことかのように笑って言う。


「ま、マジカヨ、ほんとにそんな人類存在してたのかよ……」


俺は、その純粋無垢な微笑みに、膝をついた。


完敗だ……。


キーンコーンカーンコーン


こうして、俺達のクラスの戦争は、二刀流の出現という非常事態によって、更に熾烈になっていくのであった。











 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


ちなみに作者も二刀流です。

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