とあるショタコンの苦悩(KAC20222)

つとむュー

とあるショタコンの苦悩

 私はショタが好き。

 漫画で半ズボンの男の子を見かけたらキュンとしちゃう。

 健気で真っ直ぐな少年ならもうヤバい。

 母性本能が爆発しそうになってしまうのだ。


 そうなったらもう止まらない。

 もちろん全巻、大人買い。

 そして徹底的に推し活を進める。


 作家のSNSをフォローして、動向を把握する。

 連載のチェックは欠かさず、関連グッズが発売されれば即購入。

 アニメ化なんて話を聞いてしまったら、私の推し活はヒートアップしてしまう。


 その結果――


「ねえ、みなみィ~」

「どうしたのよ。またお悩み?」


 あれだけ好きだった漫画のキャラなのに。

 アニメ化されたとたん急に冷めてしまうのは、我ながら本当に困ってしまう。

 こんなやるせない気持ちを打ち明けられるのは、親友のみなみだけなのだ。


「この間、アニメ化された漫画あるじゃん」

「もしかして、あの作品? サブキャラの少年がめっちゃ可愛いいやつ。アニメはまだ見てないけど」


 それだけで察してくれるみなみは、やっぱり頼りになる友だ。

 解決にはならないと思うけど、話を聞いてもらえればスッキリするかもしれない。


「でもね、アニメ化された途端、見る気が失せちゃって……」


 そうなのだ。

 あんなに好きなキャラだったのに、アニメは見たくなくなってしまう。


「それって……、あんた、またやっちゃったの?」

「うん……」

「ホントに懲りないわね。これで何回目? あれほどアニメ化される時は推し活やっちゃダメって言ってるのに」

「十回目……」

「あなたは人気声優なんだから。そろそろ自覚したらどう?」


 アニメになった推しキャラたち。

 ことごとく自分の声になっちゃうの、どうしたらいいんだろう?

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