推し活

Azu Kian

第0話「いち押しを助ける」

 見つけた。これこそ私には無かった戦い方だ。あの艦隊を指揮しきしてる人と話したい。聞いてみても私に出来るとは思えないけど、これを逃がしてなるもんか。



 自惚うぬぼれではなく私は彼より上手く戦えていた。彼も

「シューティングは苦手にがてなんだよ」

 とかわけしていたし。


 ここに来てからは逆になった。彼は

「シミュレーションは大好物なんだ」

 と腕前うでまえを発揮して活躍しているが、私は以前の様には戦えなくなった。愚痴ぐちをこぼしたくもなる。



 私は彼のすすめで、機動力を優先した小艦隊で訓練を続けたが上手うまくいかない。そんな時、救援きゅうえん要請ようせいを受けて向かった戦場で、すごい勢いで敵を焼き払う味方の残存艦隊を発見する。


 通信を送ると作戦計画の返信があり、思い切って私の艦隊を指示された進路で突撃とつげきさせた。


 敵艦隊をはさちで圧倒してから追撃に移り、撤退てったいする敵をほぼ壊滅まで追い込んだ。

 しばらく感じられなかった手ごたえに

「これだわ」

 とつぶやいた時、私は何やらさとったような気分だった。



 司令官を捜索そうさくするので協力して欲しいと通信を受ける。遅れて到着した彼と相談し、彼の艦隊が周辺警戒、私が捜索活動の監視役となった。


 戦闘の経緯けいいを調べると、逆転勝利を指揮したのは捜索中の司令官ではなく、司令官 代行だいこうであった。

 結局のところ司令官は消息不明と判断し帰還きかんすることになった。



 私は直接見て感じた戦闘状況をまくし立て、司令官代行の力量を絶賛した。彼が

「君の一押いちおしはあぶない気がするんだよね」

 とつぶやく、私は

「どこを見て危ないヤツだなんてひどいわ」

 顔を赤くして怒った。

危なそうに見えるけど、処分されるかもね最悪」

 私は青くなった。



 私達は司令官代行の身柄みがらを確保する為に協力して戦った。国立研究所や貴族、軍の人事部門を相手に成果を上げられたのは幸運だった。


 この時のことを思い出して彼は

「あれが僕らの押し助けのけかも」

 と言い

「そう思うわ」

 と私は答えた。




 ☆

 ☆☆

 ☆☆☆


 名前も設定されて無かった本作の二人も少しだけ出てます。

 関連作「ようこそ我が艦隊へ!新入生の皆さん宇宙実習の時間ですよ」

 https://kakuyomu.jp/works/16817139555262222732

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