世界を救った魔法少女は今日も悪役達に悩まされる。

無限飛行

1 迷惑推し活はゴメンです。

世界は魔法少女ラブリーミラーにより平和になった。

人々は歓喜し、この魔法少女にエールを送った。


「「「ラブリー!こっち向いてーっ」」」

「「「キャー!」」」


ここは、お台場にあるラブリー特設ステージ。

今日もラブリーのオンエアに会場は満席だ。


「はーい。皆、元気してたかな?元気のない貴方には、私のハートを

ウインク、ぱち。


舞台上にピンク髪を腰下まで伸ばし、ミニスカートコスチュームの美少女が現れる。

その途端、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。


「「「「うおおおおっ、ラブリー!」」」」



▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩



ステージが大成功に終わり、ラブリーがサングラスに目出し帽で裏口から出ると、人の居ないのを確認して溜め息をついた。


外の大通りはステージの観客達の帰路にあたる為、まだまだ大勢の人々が歩いている。


だがよく見ると、七割くらいが黒尽くめのタイツと黒い目出し帽を被っている。


なかにはモモンガの着ぐるみと、ハムスターの着ぐるみを着たファンもいる。

そして最後に黒マントで王冠のようなものを被り、上半身裸のニコニコしてるオッサンを4人の黒タイツが神輿にして担いでいる。


実はこの連中、悪の秘密組織ダメダメ団。


モモンガの着ぐるみは怪人❪モモンガだよ、こんにちわ❫であり、ハムスターの着ぐるみは怪人❪とっとこハムレット❫だ。


そして王冠を被っていたのは、その親玉、❪着てるよ裸じゃないよ王様だよ❫マンである。


何故ラブリーの敵である彼らが彼女の推し活をしているのか?


実は元々、芸能活動をしながら魔法少女をやっていたラブリー。

そんなラブリーの大ファンだった❪着てるよ裸じゃないよ王様だよ❫マンが、ラブリーのA席B席独占の為、ダメダメ団を結成。


ラブリーに挑み、勝ってしまった。


そして今後、悪事はしない事を条件に、ラブリーのA席、B席の半永久的独占権を手に入れてしまったのだ。


まあ、そこまでは良しとしよう。

問題は、連中の格好だ。


皆、黒づくめのタイツ姿、着ぐるみは居るし(怪人ですらない)、親玉に至っては、服を着ていない。

ただの変態集団である。


当然、まともなファン達は去っていってしまった。

後に残ったのは同じような変態達。

まったく迷惑な話である。


正直ラブリーには何でこんな連中に負けたのか記憶がない。

気がついたら捕まっており、王様だよマンにマントの中を見せると脅され、渋々A席、B席の独占権を認めたのである。




ではラブリーに代わり、賢明な読者諸君にはラブリーが負けた状況を説明しよう。


人類総もふもふ爆弾を爆発させようとしたダメダメ団。

これが爆発すると、全ての人類は可愛いいもふもふになってしまうのだ。

ラブリーが駆けつけると、二体の怪人によるもふもふお腹ボンボン攻撃。

「キャーッ、可愛い!」


そして懐柔したところで、王様マンのマントオッピロゲ攻撃。

「ぎゃーっ、変態!」


からの、ピコッ

「??!う~ん」、バタッ

ピコピコハンマー攻撃。

これでラブリーは気絶させられたのだった。


なんにしても、迷惑この上ない連中だ。

ガックシ、するラブリー。




空に向かって叫んだ。


「迷惑推し活は、ごめんです~っ!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る