第21話 ハネムーン

海底都市アトラン、地底都市グラアナ、それだけではなく様々な国の事を聞かされた。気温が低い国や高い国、貿易が盛んだったり芸術品が揃っていたり。


「少々失礼な事を聞いたりしても許してほしい、妻はまだこの世界について詳しくないのだ」

「気にしていませんよ、魔王様」

「そうですとも、わが国グラアナでは旧世界の方々が大勢暮らしていますからな!どのような方々なのかよく知っております」


魅力的な国々の話を聞かされたが、ハネムーンがはっきり言って不安だった。

兵士はきっと強いのだろうが皆が魔王だけは格が違う強さだと6024に教えてくれた、その魔法は誰よりも強烈で誰も逆らえないから国同士の争いも止まったというのだ。

6024は政治の事が何もわからないほど愚かではない、魔王を嫌う者はいるだろうしハネムーンで『魔法が使えない』状況であれば絶好の暗殺チャンスでありもし『妃の呪い』について知っているならばなおの事であった。


ようやく結婚式もひと段落ついたころに、6024は部屋で休んでいた。


「つか、れた……」

「お休みになられますか?」

「6155!?」

「驚かせてすみません、ノックはしました」

「こっちこそごめんね何か僕に用事が?」

「ハネムーンにはいきたくないのではないかと思って、それを聞きに」

「え」

「思い違いならば、よいのですが」

「行きたくないって何で分かったの!?」

「それも正確には、魔王の力が損なわれることを恐れている」

「すごい」

「むしろ分からないのは魔王ぐらいですよ、自分の力があまりに大きい事をあなたが絡むと忘れえてしまうのですから」


護衛の兵士ヘリウズも部屋に入ってきた、渋い顔で


「俺も強い、護衛はできると思っていた……魔物ぐらい退けてみせると思っていたのだが一国の軍すべてとなれば無理だろう」

「逆に言えば兵力を増強して、どんな事態でも対処できるほど護衛がいればどうにかなりますね」

「それまでハネムーンを決めないようにさせなければなるまい、あいつは先走る癖があるし遠慮していると思われたら強行もする」

「それは大丈夫ですよ、もう手はうちました」

「相変わらず頭のいい勇者様だな」

「何せ妃はこの国ですら襲われる婦人を見ているのです、他所の国を怖がっているといえばすぐ魔王も考え直してくれましたよ」

「ありがと、助かった」

「お疲れでしょうから、私はこれにて」

「え」

「何か?」

「……知らない人がたくさん城の中にいるから、一人だと不安で」

「俺がいるのに!」

「お気持ちはわかりますが、それを言う相手は私ではなさそうですね」


いつの間にか6155の後ろには魔王が立っていた


「不安にさせてすまなかった」

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