第20話 結婚式


「俺は『ナナショク王国』の王である、今日ここで正式に、我が妻として彼を迎える事を宣言する!」



民衆が沸きあがる、さらには招待された各国の王も次々に祝福の言葉を述べたのだ。



「私は隣国アトランの姫でダンと申しますの、今日は本当におめでとうございますわ!」

「よろしくね、僕は6024」

「おや、偽名はおつかいにならないんですの?」

「僕の周りだと偽名使ってる『勇者』がいなかったから、僕もこれで」

「そんなの気にせず自由にすればいいのですわよ!」

「うーん、でも魔王様に6024って呼んで貰いたいから」


さっそくノロケているなと姫は笑った


「でも、本当に結婚されて良かったですわ」

「どうして?」

「何せ色気のない王でしたので……まさか男の方が好きだとは思いませんでしたが」

「そっか君はこの世界に産まれた人なんだね?」

「勿論そうですわ、けれど貴方も魔王様あっちから転生した方でしたね」

「男とか女とかいう概念あんまり気にしてこなかったから、男だ男だって言われる方がちょっと不思議な感覚なんだ」


女の人ばかりが同じヒラヒラした格好をしているのも違和感があったし、『男湯』という物にも産まれて初めて入った、この表現は正しいか分からない


「確かに魔法で男女なんて入れ替われますわ、貴方は今どちらですの?」

「男だよ」

「私からすれば妻に男の方がなるほうが不思議ですわ」


どうにもこの世界では一般的では無いらしいが、魔族や転生者の多いこの国では自分の性別についてとやかく言われるような事もなく皆が祝ってくれていたのは結婚したいしたく無いという感情にかかわらずありがたいとは感じていた。



「アトランってどんな国?」

「海の中にありますの」

「ふーん」


姫は想定していた『すごい、海の中!』という答えが返ってこなくてすこしむくれた


「珍しがらないのですわね?」

「ミサイルが飛んでこなくていいと思う」

「それって何ですの?」

「えっと、上から降ってくる一発で大体30万人ぐらい死ぬ兵器?」

「旧世界恐ろしいですわね!?」


他の国の王が割って入った


「よろしいですかな?私は地底国の国王です、こんにちは」

「こんにちは」

「我々は地面の下に住んでおります」

「シェルターに?」

「確かそれは『攻撃をよけるための防御がされた空間』という意味でしたな」

「うん」

「ええ、シェルターですとも、わが国を攻め入るのは難しい、よければハネムーンの候補にされてはいかがかな?」

「はね?」


魔王が挨拶を終えて戻ってきた

護衛のヘリウズにまず話しかける


「6024に身に何か困った事は起きていないか?」

「目立ったことは特に起きていない」

「魔王様『ハネムーン』って何?」


その問いかけに、魔王は説明をすっとばした


「どこがいい?」

「お前な、ハネムーンがわからなければ答えようがないぞ……結婚した者たちと護衛だけで行く旅行の事だ」

「え、でも」

「心配するな、俺が魔法を使えなくなっても護衛たちが守ってくれる」

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