第2話

事務系の専門学校を卒業した後、学校近くの会社に就職した。

実家からは2時間ほど離れた所にある。


18歳から一人暮らしを始め5年ほど経つ。

友人とはたまに連絡を取る程度で、仕事一筋の奈々江は会社と家の往復を繰り返していた。


そんな彼女の唯一の楽しみは『あんこの探究』である。

休日は家で作ったり、街に出て食べ歩いたりしている。




土曜日の朝。久しぶりに図書館に行こうと思い、出掛ける準備をする。


図書カード、手提げバッグを持ち図書館へ向かう。


黄色く色付いた葉がゆっくりと落ちていく。綺麗な黄色や赤く色付いた葉が、秋の訪れを感じさせる。


思わず立ち止まり、色付いた並木道を携帯で撮影する。


奈々江の少し前にも携帯で撮影している人がいた。

(撮りたくなるほどキレイだもんね。)




図書館に着き、小説コーナーに行く。数分ほど吟味し、好きな作家の本を2冊選ぶ。

次に向かったのは今日の本命の手作りおやつコーナー。

あんこを使ったおやつの本が10冊近くあった。


(少し中身見て選ぼうかな。)


まずは5冊手に取り、近くの椅子に座る。

パラパラとめくり、借りる本を選んでいく。


最後の5冊もチェックして、あんこ本は2冊借りる事にした。


(早速材料買って帰ろう。楽しみー!)




「これ、お願いします。」

受付に本と図書カードを渡す。

「はい。」


受付の男性と一瞬目が合う。

(ん?笑ってる?)


気のせいかもしれないが、男性がニッと笑ったように見えた。

(梅野さん、か。もしや、あんこ好き?まさかね。)




この2人の出会いは後にある奇跡を起こす。

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