あんこ好きに悪い人はいない

雨上がりの空

第1話

あんみつ、あんバターサンド、たい焼き、おはぎ、羊羹、ぜんざい…


頭の中も、冷凍庫の中も、あんこでギッシリ。


あんこを好きになったきっかけは、親戚のおばちゃんから送られてきた『あん羊羹』を食べてから。一口食べた瞬間から、あんこ虜になった。

すぐにおばちゃんに電話して「またあん羊羹送ってね!」と催促したほどだ。


小学生だった佐藤奈々江は、その羊羹をきっかけにあんこの世界にどっぷりはまっていくのだった。




ピンポーン




「宅急便です。ハンコお願いします。」

「はーい。」


母からクール便が送られてきた。

早速開けてみると、野菜、お菓子、母おすすめの本、羊羹、手作りあんこが入ってる。


『甘さ控えめで作ったけど、食べすぎ注意!』

あんこのタッパーにそんなメモが貼ってあった。


「嬉しいなぁ。今日は何のあんこ食べようかな。そうだ、お礼の連絡入れよう。」

母にメールを送り、送られてきた荷物を片付ける。


一度だけ、小豆からあんこを作ったことがあるが何故か固くなってしまい上手く行かなかった。それからは買ったものを食べる事にしている。


冷凍庫を開けると、あんこがきれい並べてある。

だいたいは実家から送られてきた手作りのあんこだ。

早速、一番奥にさっき届いたあんこを入れた。


「ぜんざい食べようかな。確か冷蔵庫に餅あったよね。」


ガサゴソと餅を探して、ぜんざいを作る。


奈々江はいつもこんな感じで休日を過ごしていた。

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